培養した神経細胞を見てみよう
スライドガラス上で培養したラットの海馬神経細胞です(走査型電子顕微鏡像)。
培養して10日目くらいのものです。右下の細胞体から
何本かの線維(「神経突起」)が伸び出しています。
神経細胞は神経突起を通じて隣の神経細胞とつながり合い、
複雑な「神経ネットワーク」を形成します。
培養された神経細胞は、誰から教えられることもなく、
シャーレの中で自らネットワークを形成し、独自の神経活動を開始します。
まさに「自己組織化」の神髄。 顕微鏡を覗き、
そんな神経細胞の“生きざま”を眺めていると、
なんだか不思議な感覚に襲われます。
上のムービー(位相差顕微鏡像)は培養して3日目の神経細胞ですから、
まだネットワークを作っていませんが、
神経突起を伸ばして周辺の神経細胞を探しています。
神経突起の先端には「手のひら」のような形をしたものが見えます。
これは「成長円錐」と呼ばれる神経細胞のアンテナです。
神経細胞は成長円錐を使って周辺の環境を感知し、
どの方向に突起を伸ばすかを決定しています。
このムービーは約100倍速で再生したものですので、
成長円錐から飛び出した「指」が自在に動いているのがよくわかります。
この指がセンサーの役割をしています。
成長円錐を拡大した画像です(走査型電子顕微鏡像 6000倍)。
成長円錐は数ミクロン程度の小さな構造です。
参考文献
J. Biol. Chem., in press, 2005.
J. Neurosci., 24:7215-7224, 2004.
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