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7月1日(木) アリゾナ
▼ 午前は『キャニオン・デュ・シェイー』をのんびり散策。これまた見事な大渓谷を谷底まで歩いて下る。岸壁にアメリカ先住民(いわゆるインディアン)が書いた壁画がいくつか見える(写真はこちら)。
▼ 昼は『フォコーナーズ』に寄りつつ、『メサ・ヴェルデ国立公園』(世界遺産)へ。谷底の近くには700〜800年前のインディアンの住居遺跡が点在している(写真はこちら)。いやあ、今日はよく歩いた。
▼ 一口英語教室: 「歩きすぎて疲れた(=足が棒になった)」 → My feet are killing me.
7月2日(金) コロラド
▼ 朝、『メサ・ベルデ』を発つ。「デュランゴ」や「シルバートン」などの歴史的な街を見学しつつ、「ユーレイ」という温泉町でのんびりする。
▼ シルバートンはその名の通り銀鉱山麓の街で、ゴールドラッシュのほとぼりが冷めやらぬ1870年頃、一攫千金を求めた4000人もの群衆が、この狭い村に群がった。しかし、ロッキー山脈の自然の厳しさ、そして、銀鉱脈が予想されたほど大きくなかったことから、集まった人のうち1000人が死んでしまったという。驚くべきはその死因で、死亡者のうち300人以上は食用に殺されたらしい。その後シルバートンはゴーストタウンと化したが、最近になって当時の建物を活かして観光地化された(当時の蒸気機関車まで運営されている。スピードが遅くてびっくり)。西部劇そのままの街並みが広がっている。
▼ Nature Local sleep and learning Reto Huber, M. Felice Ghilardi, Marcello Massimini & Giulio Tononi
▼ Science Sites of Neocortical Reorganization Critical for Remote Spatial Memory Thibault Maviel, Thomas P. Durkin, Frederique Menzaghi, and Bruno Bontempi
▼ Science Neural Activity Triggers Neuronal Oxidative Metabolism Followed by Astrocytic
Glycolysis Karl A. Kasischke, Harshad D. Vishwasrao, Patricia J. Fisher, Warren
R. Zipfel, and Watt W. Webb
▼ Science Inhibition of Netrin-Mediated Axon Attraction by a Receptor Protein Tyrosine
Phosphatase Chieh Chang, Timothy W. Yu, Cornelia I. Bargmann, and Marc Tessier-Lavigne
▼ NCB A NUDEL-DEPENDENT MECHANISM OF NEUROFILAMENT ASSEMBLY REGULATES THE INTEGRITY
OF CNS NEURONS。
▼ MCN Regulation of dendritic spine motility and stability by Rac1 and Rho kinase:
evidence for two forms of spine motility Ayumu Tashiro and Rafael Yuste
▼ MCN Expression of the neurotrophin receptor trkB is regulated by the cAMP/CREB
pathway in neurons Ruben Deogracias, Gemma Espliguero, Teresa Iglesias and Angeles Rodriguez-Pena
▼ 一口英語教室: 「どう?気に入った」 → Do you like it?
7月3日(土) コロラド
▼ 『ブラックキャニオン国立公園』を訪れる。ここは世界でも珍しい前カンブリア時代のとってもふる〜い地層が浸食によってむき出しになっている。そのため岸壁はドス黒く、独特の景観を作っている(こんな感じ←この写真は50mmレンズで撮っている!)。しかも、急流によって深くえぐられた渓谷が足元直下遙か800メートルに見えて頭がクラクラする。こんな絶壁は見たことがない。絶景だ。
▼ その後はロッキー山脈の中を走り、レッドヴィル(←アメリカ最標高の都市)を抜けながら、ブレッケンリッジに泊まる。ここも標高3000メートルの街でとても空気が薄い。「O2 Bar」という“酸素カフェ”まである。道中は典型的なロッキー山脈の風景(こんな感じ)。
▼ レーガン大統領を悼んでアメリカ全国でずっと半旗だったが今日からホワイトハウスで全旗に。
▼ ニューヨーク地下鉄の連続殺傷事件は、私がNYを発ったときにはまだ3人だったけど、今や被害者は5人に達したらしい。人々がまだ沢山いる時間帯に、私もよく利用するメジャーな駅で、群集の中で平然と発砲されているのが怖い。一刻も早く犯人が捕まって欲しい所。
▼ 一口英語教室: 「知ったこっちゃない」 → Who cares?
7月4日(日) コロラド
▼ 『ロッキー・マウンテン国立公園』を訪問。アメリカ大陸を代表する国立公園の一つ。標高3600メートルにも関わらず道路がすべて舗装されているのには驚いた。景色が良いのは言うまでもないが、沢山の動植物に出会うことができる(写真はこちら)。晴れたり吹雪いたりでさんざんな天気だったけど、動物好きの我々夫婦には、ムースやエルクや大角ヒツジなどの大型動物を見ることができて楽しい一日になった。
▼ 夜はデンバー市へ。ニコール・キッドマンの新しい映画『ステップフォード・ワイフ(The Stepford Wives)』を観る。
▼ ホテルの窓から美しい花火が見える。そう、今日はアメリカ独立記念日だ。愛国心のつよ〜いアメリカ人たちは、今日は一年でもとりわけ大好きな休日らしい。
▼ 今週のF1000:JNB Neurotrophic activities of trk receptors conserved over 600 million years
of evolution。
▼ 今週のF1000:JGP Representation of objects in space by two classes of hippocampal pyramidal
cells
▼ 今週のF1000:CC Correlation Maps Allow Neuronal Electrical Properties to be Predicted from
Single-cell Gene Expression Profiles in Rat Neocortex Markramラボ。
▼ 一口英語教室: 「やっぱりね」 → I knew it.
7月5日(月) コロラド
▼ 午前、『デンバー自然科学博物館』へ
▼ 午後、「ラピッドシティー」へ飛ぶ。
▼ CC BDNF Locally Potentiates GABAergic Presynaptic Machineries: Target-selective
Circuit Inhibition Shizu Ohba, Takamitsu Ikeda, Yuji Ikegaya, Nobuyoshi Nishiyama, Norio
Matsuki, Maki K. Yamada
▼ 一口英語教室: 「ぜひともそうしたいところなのですが…」 → I wish I
could.
7月6日(火) サウスダコタ
▼ 今日は休息日。『ジャーニー博物館』を訪問した以外は、ホテルに籠もってRosaが書いた総説論文の直し。
▼ 今回の旅では“インデアン”の生活や歴史に触れることが多いが、彼らの知恵や文化は本当に素晴らしい。歴史の長さも記録が残っているだけでも中国やエジプトを遙かに上回り1万年に達するという。『一万年の旅路』がこの分野の推薦書らしいので帰国したら読んでみよう。
▼ 今回の旅で驚いたことの一つ = 映画料金。NYでは10ドルなのだが、意外なことに、これは固定ではなくて、田舎に行くほど安価になるのだ。一昨日観たデンバー市では7ドル。でも、ここ、ラピッドシティーではたったの3ドル。それだったら日本より映画が身近なわけだ。
▼ JCB Regulation of SNAREs by tomosyn and ROCK : implication in extension and
retraction of neurites Toshiaki Sakisaka, Takeshi Baba, Shintaro Tanaka, Genkichi Izumi, Masato
Yasumi, and Yoshimi Takai。
▼ PNAS Prolonged hyperpolarizing potentials precede spindle oscillations in the
thalamic reticular nucleus Pablo Fuentealba, Igor Timofeev and Mircea Steriade。
▼ PNAS Localized chemical release from an artificial synapse chip Mark C. Peterman, Jaan Noolandi, Mark S. Blumenkranz and Harvey A. Fishman
▼ PNAS Notch signaling in Drosophila long-term memory formation Xuecai Ge, Frances Hannan, Zuolei Xie, Chunhua Feng, Tim Tully, Haimeng
Zhou, Zuoping Xie, and Yi Zhong
▼ 今日のキーワード検索: Google「ガヤ 食べ方」 近頃、脂肪分がのってきたので食べ頃かも
▼ 一口英語教室: 「ご冗談を」 → Don't be silly.
7月7日(水) サウスダコタ、ワイオミング
▼ 『マウント・ラッシュモア国定公園』と『クレイジー・ホース記念公園』を訪問。前者はヒッチコック監督の『北北西に進路を取れ』の舞台になった場所。
▼ 昼飯は「デッドウッド」という西部劇さながらの小さな街にあるレストラン(←ケビン・コスナーの営むカジノ)で、バッファロー肉のハンバーガーを食べる。
▼ ワイオミングに入り、『デヴィルズ・タワー国定公園』を訪問。ここはスピルバーグ監督の『未知との遭遇』の舞台。この周辺では、プレイリードックやアンテロープ、ミュール鹿など様々な動物に出会う。
▼ その後の道中は、気の遠くなるほどダダっぴろい平原「プレーリー」の風景。そこには油田やら炭坑やらが点在していた。資源が豊富らしい。
▼ 日が傾き始めた頃には、雲が虹色に輝く「彩雲」という現象に出会って、これまたビックリ(写真はこちら)。
▼ シェリダン泊。
▼ Neuron Conditional Deletion of TrkB but Not BDNF Prevents Epileptogenesis in the
Kindling Model Xiao-Ping He, Robert Kotloski, Serge Nef, Bryan W. Luikart, Luis F. Parada,
and James O. McNamara RK君必読
▼ JN Attenuated Plasticity of Postsynaptic Kainate Receptors in Hippocampal
CA3 Pyramidal Neurons Koichi Ito, Anis Contractor, and Geoffrey T. Swanson
▼ JN Tyrosine Phosphorylation and Regulation of the AMPA Receptor by Src Family
Tyrosine Kinases Takashi Hayashi and Richard L. Huganir。
▼ JN Rapid Axoglial Signaling Mediated by Neuregulin and Neurotrophic Factors Raymond M. Esper and Jeffrey A. Loeb
▼ JN Fibroblast Growth Factor Receptor 1 Is Required for the Proliferation of
Hippocampal Progenitor Cells and for Hippocampal Growth in Mouse Yasushi Ohkubo, Ayumi O. Uchida, Dana Shin, Juha Partanen, and Flora
M. Vaccarino
▼ JN Correlation between Semaphorin3A-Induced Facilitation of Axonal Transport
and Local Activation of a Translation Initiation Factor Eukaryotic Translation
Initiation Factor 4E Chanxia Li, Yukio Sasaki, Kohtaro Takei, Hiroshi Yamamoto, Masayuki Shouji,
Yoshinobu Sugiyama, Tadashi Kawakami, Fumio Nakamura, Takeshi Yagi, Toshio
Ohshima, and Yoshio Goshima
▼ 今日のキーワード検索: Google「佐藤琢磨 ホモ」 まじ?そうなの?
▼ 今日のキーワード検索: Google「ブラームス 交響曲第4番 楽章 タンホイザー
そっくり」 まじ?そうなの?
▼ 一口英語教室: 「そんな難しくないよ」 → It's not that difficult. ※
that = so
7月8日(木) ワイオミング
▼ ビッグホーン・フォレスト(ロッキー山脈の一部)を超える道中で、”マウンテン・ブルーバード”に出会う。目にも鮮やかな青い鳥。
▼ 「コディー」という街で昼食を食べて、昼過ぎに『イエローストーン国立公園』に到着。「イエローストーン・レイク」の湖畔にある「ウェスト・サム・ガイザー・ベイスン」で抜けるように青く透き通った温泉群を見た後、「オールド・フェイスフル」へ。周辺のトレールを日が暮れるまでずっと歩き回る。この辺りは温泉が何千も(間欠泉だけでも120個!)が密集しているのだ(間欠泉の写真はこちら)。いやあ、スゴイ。
▼ オールド・フェイスフル・インに泊まる。木材の良さを活かした素晴らしいロッジだ。
▼ 一口英語教室: 「どうしようもない」 → I can't help it.
▼ Nature A membrane-access mechanism of ion channel inhibition by voltage sensor
toxins from spider venom Seok-Yong Lee and Roderick MacKinnon
▼ Science Cyclic AMP-Induced Repair of Zebrafish Spinal Circuits Dimple H. Bhatt, Stefanie J. Otto, Brett Depoister, and Joseph R. Fetcho
▼ Science Cognitive Control Signals for Neural Prosthetics S. Musallam, B. D. Corneil, B. Greger, H. Scherberger, and R. A. Andersen
▼ Cell Huntingtin Controls Neurotrophic Support and Survival of Neurons by Enhancing
BDNF Vesicular Transport along Microtubules L.R. Gauthier, B.C. Charrin, M. Borrell-Pages, J.P. Dompierre, H. Rangone,
F.P. Cordelieres, J. De Mey, M.E. MacDonald, V. Lesmann, S. Humbert, and
F. Saudou
7月9日(金) ワイオミング
▼ 今日は一日中、『イエローストーン国立公園』を観光。
▼ 早朝はホテル周辺の「ガイサー・ヒル」を散策。
▼ その後は「ファウンテン・ペイント・ポット」「マンモス・テラス・マウンテン」「キャニオン・ヴィレッジ」「マッド・ヴォルケーノ」を移動しながら巡る。
▼ 今日もイエローストーン公園ならではの奇景や多種な動物を、これでもかあっと言うほど見たが、ホテルに戻ったら、我々の泊まっているロッジの庭にバッファーローが2頭、山から降りてきていて驚いた(こちら)。人を恐れず、野花畑に居座るとは、なんたる貫禄。体重は1トンもあるんだそう。
▼ 夕食後は「ブラック・サンド・ベイズン」まで散歩。日没時には絶妙な雲の位置によって、見たこともないような幻想的な色彩が眼前に広がった。この写真は画像処理等をしてない原色そのままなのだ、びっくり。(とりわけ上の写真は絵画の世界に入り込んだよう!)
▼ 今日は20kmは歩いたな。自然満喫。
▼ 一口英語教室: 「ちょっと見て」 → Have a look.
7月10日(土) ワイオミング
▼ イエローストーンを経ち、お隣の『グランド・ティートン国立公園』へ。すげえ景色!このパノラマは明らかに“マイ・ベスト・シーン”の一つだ(こんな感じ:手前の沼水にいるのはヘラ鹿♀)。ところで、この風景、見る人が見るとピンとくるはず。そう、アラン・ラッドの映画『シェーン』の舞台になった場所である。あの名ぜりふはここが背景に使われている。ところで「ティートン(Teton)」とはフランス語で“おっぱい”という意味なんだそう、なんでこんな名前が付いたんだ?
▼ ジャクソンホールに泊まる。夕食は寿司を食べる。久しぶり。NYでも食べたことがない。
▼ 今週のF1000:Nature Comparison of population coherence of place cells in hippocampal subfields
CA1 and CA3 Lee I, Yoganarasimha D, Rao G, Knierim JJ
▼ 一口英語教室: 「どうなってんの?」 → What's going on?
7月11日(日) ワイオミング、ユタ
ジャクソンホールから南下。
▼ 『フォッシル・ビュート国定公園』の近くにある「ユーリックス・フォッシリー・ギャラリー」で化石採りを体験。四駆に乗り換え採掘地へ。これがまた取れるわ取れるわ、面白い!(といっても魚と海藻と魚糞だけだったけど) 自分で採ったもののうち、気に入った板石12枚を電ノコで切り取ってもらって頂戴する。。。ちょっと持ち帰りすぎたかな(こちら)。どなたか欲しい人がいたら先着で差し上げます。
▼ 夕方に「ソルトレーク」に着く。ユタ州会議事堂やモルモン教総本山であるテンプル・
スクウェアなどを軽く巡る。
▼ 夜、空港へ。
7月12日(月)
▼ 早朝にNYに着く。シャワーを浴びて大学へ。久しぶりの研究室。ラボの皆が暖かく迎えてくれた。でも、まだまだ私のVacationは続く。。。予定!?
▼ 午前、貯まっていた仕事などを片付ける。午後はMorganeの実験に付き合う。この二週間でずいぶんと実験手技が進歩している。あと少しだ。残った時間は私の明日の実験の準備。私の不在中に新しいNipkow板Confocalが来たのだが、どうも調子が悪いようなので、明日は自分の目で確認してみよう。薬作でも立ち上げたいシステムだし。
▼ Rafaからラボの皆へ「これを読むように」とのメール。ARN Neuronal circuits of the neocortex. Douglas RJ, Martin KA. とりあえずプリントアウトして“積ん読リスト”へ。
▼ 投稿論文を書いていて「これはいいデキバえだぜ!」って慢心できる研究内容を書けることはめったにない。そんな中で自分で気に入っている数少ない論文はこれ。でも、ほとんど引用してもらえないのが悲しい。
▼ EJN Disruption of hippocampal CA3 network: effects on episodic-like memory
processing in C57BL/6J mice 海馬CA3への苔状線維入力が「文脈依存恐怖条件付け」に重要であることを示した論文。DEDTCやCaEDTAを使ったかなり際どい実験。“lesion
of the MF pathway”と主張するロジックが私には理解できないが、とりあえずこの論文で「亜鉛イオンのVesicle放出が学習に重要そうだ」とはいえるかも。
▼ 今日のキーワード検索: Google「六條華 彼氏」 そりゃいてもおかしくないな
▼ 一口英語教室: 「言ったこと、わかるかな?」 → Am I making sense?
7月13日(火)
▼ 朝寝坊したので、午前はスライスを切るのみにして、実験は午後に。やはり新しい共焦点顕微鏡の調子は明らかにおかしい。「Wasabi」というハマフォトの画像ソフトとの相性の問題だとラボの人は言っているけど、でも、単に設定の問題ではないかとも思う。今日のところは原因がつかめず。
▼ MBAオールスター戦をTVで見ながら、開設当初から変更されていなかった個人HPの衣替えをする(これ→http://hippocampus.jp/)。内容はそのままなんだけど。。。
▼ PNAS Genome-wide analysis of repressor element 1 silencing transcription factor/neuron-restrictive
silencing factor (REST/NRSF) target genes ヒト、マウス、フグのゲノム配列からRE1/NRSEをin silicoで推定し、実際にElectromobility
Shift Assays(ESMA)などでREST/NRSFの標的になっていることを確認。(哺乳類では)なんと2000個近くも見つかるんだ。そりゃ重要なわけだ。
▼ PNAS Learning modulates the ensemble representations for odors in primary olfactory
networks ススメガ幼虫(Manduca sexta)のantennal lobe(触角葉)からvivoでマルチunit記録。パブロフ系の嗅学習によって神経の反応が時間的(図6)にも空間的(図4)にも変化するというものなんだけど、後者に見られる新しい神経細胞のRecruitmentは先日のNeuronの論文を彷彿させる(引用されてないけど)。
▼ JP AMPA-receptor activation regulates the diffusion of a membrane marker in
parallel with dendritic spine motility in the mouse hippocampus MARCKSのN末「membrane-anchoring domain」をfusionしたGFPをThy1プロモーターで発現させたTransgenicマウスの海馬をスライス培養して、細胞膜の内側に結合したGFP蛍光を共焦点で観察するという賢い方法。Photobleaching(FRAP)でGFPシグナルの拡散率(=膜流動性)を観察し、二つの発見をしている。(1)
SpineよりもShaftの方がGFP拡散率が高い。(2) よく動くSpineほどGFP拡散率が低いということ。後者はAMPA受容体薬でも確認。
▼ JP Extrasynaptic NR2B and NR2D subunits of NMDA receptors shape ‘superslow’afterburst
EPSC in rat hippocampus アブストしか読んでないのでパス。
▼ 一口英語教室: 「行く気がしないなあ」 → I don't feel like going.
7月14日(水)
▼ 共焦点のセットアップの再チェック。直らず。この誤作動は相当に根深い問題かもしれない。明日再度チャレンジだな。
▼ 夕方は明日の実験準備。
▼ 夜はメトへ。ロイヤル・バレエが来米中なのだ。かのシルヴィ・ギエム(Sylvie
Guillem)も来ているというので、これを見逃す手はない。今夜はガラ演目なので、ギエムの他にもアリーナ・コジョカル(Alina
Cojocaru)、リアン・ベンジャミン(leanne benjamin)、ダーシー バッセル(Darcey
Bussell)とそうそうたるメンツが揃っている。この中ではやはりコジョカルがとても良かったので、明後日の彼女の演目も行くことにした(チケットは妻が学生券で買ってくれた=20ドル)。ABTを見慣れた私の目には振り付けが新鮮で面白かった。
▼ 先日の旅行中、持参した専門書から、例の私の予測アルゴリズムがいわゆる「平均場理論(Mean
Field Theory)」と関係していることを知る。まあだからどうだってことのほどではないけど、でも独立していた知識がいろいろと結びつくのは楽しい。
▼ Nature Cell fusion-independent differentiation of neural stem cells to the endothelial
lineage。Gageラボ。GFPマウスから調整した神経幹細胞をヒト内皮細胞と共培養すると、なんと神経幹細胞(外胚葉由来)の一部が内皮細胞様(内胚葉由来)に分化するという内容。これは共培養する内皮細胞をPFAで固定しておいても見られる現象だという。うーん、分化は奥深い。
▼ Nature Pitch discrimination in the early blind 盲人が音程変化に敏感であることを示す論文。ただし五歳を過ぎてから視覚を失った場合は通常レベルの音感受性しか示さない。つまり臨界期可塑性。
▼ JN Glutamate Transporter Cluster Formation in Astrocytic Processes Regulates
Glutamate Uptake Activity GFP-GLT-1をマウス皮質アストロサイトに発現させると、突起上にクラスターする。クラスターはアクチン依存的に形成され“動く”。これがグルタミン酸取り込み活性に関係あるらしいことを後半のPKC関連の薬物で示唆している。
▼ JN The Amygdala Is Enlarged in Children But Not Adolescents with Autism; the
Hippocampus Is Enlarged at All Ages Amaralラボ。扁桃体は少年期に発達して大きくなる。この発達が正常よりも早い時期に生じると自閉症になるのではないかという話。無論、この手の研究では因果関係まではわからないが、面白い視点だと思う。
▼ 今日のキーワード検索: Google「除毛剤 マウスに」 ヌードマウスができます(ウソ)
▼ 今日のキーワード検索: Google「バイオリン 美音 臭音」 臭音ってなんすか?鼻音?
▼ 一口英語教室: 「いい物、見せてあげようかあ」 → Do you want to see something? ※ “Do
you want to”の独特なニュアンスは祖父江夫人の日記の7/11の欄も参考に
7月15日(木)
▼ 午前、実験をしようとおもったらスライサーが埋まっていた。なぜだあ、こんなケースは初めて。っていうか、このラボでは“使用予定表”がないのに、あまりバッティングしないほうが不思議か。。。仕方なく午後に実験。調子が悪い顕微鏡をごまかしごまかし画像を撮ってみるのだが、神経活動は観察できず。というか、むしろUVで細胞が死んでいく。なんとかせねば。
▼ 夕食時はWWEのスマックダウン(SmackDown)を放映していたので見る。深夜は『スティング』をやっていたので妻と見る。エンディングを知っていても面白いモノは面白い。古きシカゴの街並みがまた良い。
▼ 日記を付け始めてから今日でちょうど一年目を終えた。毎日書くにはそれなりの努力が必要だった。定期的に読ませていただいているGardenerさんや大英帝國留學録さんの日記も、偶然にもほぼ同じ頃から始まっているらしいのが興味深い。ただ私の日記は一ヶ月前から公開を休止してしまったという意味で、いわゆる“挫折組み”である。でも一日平均閲覧数15人以下という今の状況はけっこう気楽で心地良いものでもあるから正直いって良し悪しどちらともいえないのかも。
▼ 日記といえば、じつは妻も日記フリークで、なんと生まれて初めて鉛筆を持った日から今日までずっと続いているというからとても敵わない。「火事があったら真っ先に持って逃げるのは日記ね」というのも納得。ところで私は火事の時には何を持って逃げるだろうか。。。うむ、やっぱり実験データか。
▼ 一昨日のMBAオールスター戦のTV視聴率は過去最低だったらしい。One-side
gameだったからなあ。
▼ 妻に教えてもらったこと。キリンは反芻動物だということ。なが〜い首を吐き戻すんだね。。。
▼ Science Cognitive Imitation in Rhesus Macaques 図が二つしかない。課題試行している教師サルを横に眺めながら、もう一匹の生徒サルに見よう見まねで課題を模倣させるという内容。課題を巧妙に組んでいるため、motor
ruleとcognitive ruleが分離可能になった。「猿マネ」とはいうものの、(この試行では)真似されるのはじつは動作ではなく、もっと高度な“cognitive
rule”だという主張。
▼ 一口英語教室: 「水でも持ってこようか?」 → Can I get you a glass of
water?
7月16日(金)
▼ 午前、古い方の装置で実験。今日はJasonの誕生日。スライスを切りながらJasonの仕事部屋のデコレーションを手伝う。喜んでくれた。実験のほうも綺麗なロング・ムービーが取れたので、わりと満足。
▼ 午後は(3週間前にとった)データのスパイク抽出作業。
▼ 夜は来米中のロイヤル・バレエへ。プロコフィエフ作曲のバレエ「シンデレラ」。タイトル・ロールはアリーナ・コジョカル(Alina
Cojocaru)、王子は ヨハン・コボー(Johan Kobborg)。そして、なんと脇の義姉妹役をアンソニー・ダウエル(Anthony
Dowell)とウェイン・スリープ(Wayne Sleep)が固めるという、Principal4人の豪華キャスト。コジョカルのキュートな踊りはもちろんのこと、義姉妹の演出も楽しいし、音楽も良い。すっかりおとぎ話の世界にどっぶりとはまってしまって、陶酔うっとり気分。最高の夜!
▼ 帰り道の妻の話。「そういえば、中学の頃、シンデレラのパロった演劇をやったわ」─
うっ、嫌な予感 ─ 「え〜と、そうそう、『ハゲ照れら』ってタイトルだったかな。エンディングはね、『王子様、そのカツラを落として帰ったのは私なの!』って。めでたしめでたしのストーリー。いい話だわあ。ね?」 なんだか急に現実にもどった…かも。まあ、今日のシンデレラが良かったことには変わりない。
▼ Yuste研はいちおうV1専門ラボなので、その分野の情報は事前によく入ってくる(私とJasonはV1を使ってないけど)。実際、このラボの研究費の一部はNational Eye Instituteからだ。ただ私はこの分野にあまり追い付いていけなくて、せっかくの情報が役立っていない。もっと勉強せんとな。
▼ 何人かの人のWeb日記を読んできた中でもっとも印象に残っている文章 ─
Pooneilさんの5月6日の「雑記」 夕暮れに浮かぶ大小二つのシルエット
▼ 淡路恵子さんのニュースは泣かせるね。
▼ CC Spike-timing Dynamics of Neuronal Groups。以前もこの日記でちょっと話題にした論文で、今号の表紙にもなっている。AnatomyやSpike伝導速度、STP、STDPなどのrealisticなパラメタをモデル回路に組み込み、さらに10%のノイズ発火を加えることで、spike
sequenceを生み出すcell ensembleが自然と出現するというもの。sequenceの定義がちょっと違うので直接の比較はできないが、Yusteラボのデータを理論面からサポートしている論文であることは間違いない。これにDendrititc
Integrationを組み込んだらどうなるかな。自分でやってみたい仕事の一つだけど手が回らない。たぶん、そんなに難しくないはず。この手の実験、誰か一緒にやってくれ〜。
▼ CC Summation of Unitary IPSPs Elicited by Identified Axo-axonic Interneurons。ラット体性感覚野L4錐体細胞。Axo-axonic介在神経の投射とIPSP summationのLinearityについて調べたもの。電気生理学のデータは劇的に面白いというわけではないが、Anatomyのデータはけっこう重要かも。
▼ ところでCereberal Cortex誌って一年前にEditor-in-Chiefが変わってから、どんどん論文を受理しまくっているけど、今後もこのペース(十数報/月)の出版で間に合うのか。というかこのまま行ったらIFが落ちるのは間違いないだろうなあ。
▼ 以下、チェックし忘れてた論文二つ↓
▼ Hippocampus Pharmacological dissection of calcium channel subtype-related components
of strontium inflow in large mossy fiber boutons of mouse hippocampus。八尾先生。
▼ Hippocampus Progenitor cells from the CA3 region of the embryonic day 19 rat hippocampus
generate region-specific neuronal phenotypes in vitro。
▼ 一口英語教室: 「ひさしぶりぃ」 → Long time no see.
7月17日(土)
▼ 一日中、自宅でデータ整理に没頭。さすがに捗った。
▼ 旦那の会社の派遣で海外に暮らしている奥様方のことを、“駐在員の妻”を略し、「駐妻(ちゅ〜づま♪)」と呼ぶらしいんだけど、ニューヨークに暮らしている“駐妻”は、(一般階級の中では)おそらくもっとも優雅な生活をしている人種だろう。
んで、彼女たちの間では「旦那の給与に占める妻の娯楽費の割合」のことを「エンジェル係数♥」と呼ぶらしい。まぢですか、エンゲルさん?
▼ ヒトは(或る意味)進化の頂点にいる。かつて「我々人類が他の動物よりも格段に進化したのは“二足歩行”を始めたからである。これによって両の手が自由に使えるようになったのだ」と聞いたり読んだりして以来、何も疑わずこの仮説を信じてきた。でも!先日の旅行で気づいた。これは多分ウソだ。デンバーの博物館に行ったときそう悟った。ティラノサウルスを見れば一目瞭然。ヤツらは二足歩行を始めたおかげて、両手が退化してしまった。
▼ 曙、また勝てず。
▼ BpJ Calcium Dynamics in Dendritic Spines and Spine Motility。Spineカルシウムの数理モデル。未読。
▼ 今週のF1000: NPP Behavioral and neurochemical consequences of long-term intravenous self-administration
of MDMA and its enantiomers by rhesus monkeys Fantegrossi WE, Woolverton WL, Kilbourn M, Sherman P, Yuan J, Hatzidimitriou
G, Ricaurte GA, Woods JH, Winger G
▼ 今日のキーワード検索: Google「サグラダ ファミリア 定価」 あのお…売り物ではないかと
▼ 一口英語教室: 「どうしたの」 → What is the matter?
7月18日(日)
▼ TVを横目で見ながら、今日もずーっとデータ整理。この週末に予定していた部分はかろうじて終わった。
▼ ナゼか今日はTVで『バック・トゥー・ザ・フューチャー1』、『インディ・ジョーンズ1』『裏窓』『お熱いのがお好き』と立て続けに有名映画を連発していたのだ。やはり時は過ぎるもの。4作とも映画史に残る大傑作とはいえ、今みても新鮮なのは、シナリオが抜群な「バック・トゥー・ザ・フューチャー」だけかも。ちなみに私はマリリンがちょー好き。よく比較されるオードリーよりも断然好き。そして、もちろんグレース・ケリーも大好き。
▼ 私はPCで赤外線マウスを使っているのだが、今朝、これを机から右足の親指にダイレクトに落とした。直撃、青タン、すっげー痛い。
▼ ところで、手に持ったモノを落としそうになったときや、うっかりしてたときに言う「おっと」ってやつは、英語では「Oops(ウープス)」というんだけど、これはアメリカに一年半もいれば自然に英語で出るようになる。でも、どうしても出てこないのが「痛て!」という意味の「Ouch(アウチ)」だ。周りにアメリカ人がいても、「痛てっ!」と言ってしまう。だって痛いモノは痛いのだ。
▼ 今日のキーワード検索: Google「ダイヤモンド おやじギャグ」 これなんだろ。おやじギャク大賞か何かかな。銀賞、金賞、ダイヤモンド賞とか
▼ 一口英語教室: 「おお、今わかったよ」 → Well, I see it all now.
7月19日(月)
▼ 週末に終わらせたデータの図版化。さらに新Confocalデータとの比較解析。明日の実験の準備。
▼ San DiegoのSFN学会のホテルと飛行機を予約した。
▼ Shimaさん日記より。カルロス・クライバー氏死去。書きたいことは山ほどあるけどここはグっと押さえて、81年来日時のNHKホールのライブ録音「オテロ」をしんみり聴く。私の知る限りもっとも完璧な彼のDiscographyはこちらのHP。
▼ JCB Synaptotagmins are trafficked to distinct subcellular domains including
the postsynaptic compartment。Drosophilaのsynaptotagmin familyについて。KO→rescue実験とかも一部やっているけど、基本的には発現&分布を調べただけなのに、今でもJCBに載るんだなあ。Synaptotagmin
IVがシナプス後側に存在しいてるというのがポイントなのだろう。
▼ 一口英語教室: 「きっと後悔するよ」 → You will be sorry. * 勧誘や推薦するときの遠回しな表現として「行かないと(しないと)損だよ〜」などのニュアンスにも使える。
7月20日(火)
▼ 午前、実験。んで、実験しながらShimaさんのProof中の論文を読ませていただく。(Flamingoのホモログである)Celsr2が樹状突起の十分な形態発現に必要だ、という内容の論文なんだけど、siRNAの設計、RNAi耐性Celsr2の作成、Deletion解析などかなり丁寧に実験されていて好感度大。(ご自身で書かれているように)Time
Lapseでは調べていないけれども、私の目から見てもretractionであることはまず間違いなさそうな印象。だとしたら、やはりこれは面白くて、この論文ではgrowthよいうよりもmaintenanceを検出していることになる。“スライス培養+GeneGun+短期効果”という系だけに、まあ、そりゃそうなんだろうけど、この二つを分離するのはKOだけではなかなか大変だ。ところで、図6B、孫悟空の「觔斗雲(キントウン)」みたいな写真の切抜きがウけました。スミマセン(汗)
▼ 午後はRK君の論文のProofと、Referee中の論文に没頭。
▼ 夜はリンカーンセンターへ。いまNYを訪問中の中村勘九郎さんの歌舞伎「夏祭浪速鑑」を見る。アメリカ人はこういう日本の姿が大好きみたいで、すごい人気ぶり。我々も今日の公演しかチケットが取れなかったし、会場前には「余ったチケットを売ってくれ」と言うアメリカ人が何人かいた。彼らが日本の文化に興味を持ってくれるのはうれしいことだ。でも歌舞伎・狂言や時代劇だけを見て、日本に淡い憧れをもつ人が多いみたいなんだけど、どんなもんなんだろ。ちなみに「ハラキリ」はアメリカ人なら誰でも知っている単語だが、私はそのたびに「まっとうな日本人ならセップクというね」と改めさせる。でも「セップク」なんて音はアメリカ人には発音できないのだ。ちょっと優越感。
▼ ところで今回の一連の平成中村座NY公演。先週土曜日の初日はスザマしい数の日本の芸能人が応援鑑賞に訪れていたらしい。その中、大竹しのぶさんに至っては中学生のお子様までも連れていらしたようで、目撃証言によると、お嬢さんはさんまさんに激似らしい。お母さんに似れば良かったのにね。
▼ それにしても歌舞伎って不思議な芸術だなあ。ピカソやストラビンスキーもビックリの前衛性。
▼ PNAS Essential role of brain-derived neurotrophic factor in adult hippocampal
function NSE-tTAとTetOp-Creマウスを動因してBDNFノックアウトマウスを作成。BehaviorもLTPもまあ予想通りのデータ。強制水泳テストでの抗うつ病薬の効果がノックアウトで見られないという点が、こんな論文を絡めて考えると面白いかも。ね?MKY先生。
▼ PNAS The effects of host contact network structure on pathogen diversity and
strain structure なんとなく掲載。深い意味はなし。
7月21日(水)
▼ 朝、昨日のデータをバックアップしようとしたらHDDがクラッシュしていてて、せっかくのMovieが消滅していた。なんでだあ。泣ける。
▼ 午前&午後、実験。
▼ 夜になると構内に沢山のホタルが舞っている。おそらくセントラルパークから飛んでくるのだろう。日本と違って、これは秋まで続く風景。
▼ イチロー、昨日も今日もスゴイ。
▼ 講演料。私に届くEメールはインタビューや執筆の依頼だけでなく、「講演」の依頼も多い(“多い”といっても頻度は月に平均1〜2回程度だけど)。んで、面白いのは講演料。こいつが世間離れしているのだ。通常、1回1時間で10万円の謝金になる。言い換えれば「時給100,000円」なり。時給550円で郵便配達バイトをしていたあの頃がほろ苦く思い出される。でも、10万円というのは一般レベルから見れば実は最低ラインで、今日依頼があったのは1時間で30万円だった。ちなみに、ちょっとした有名人を呼ぶには50〜100万円と聞いているから、私はまだまだ“ガキ扱い(?)”というわけだ。まあ、そりゃ当然だ。
ところで、私は今のところ講演依頼をすべてお断りしている(すみません…)。いつか将来、「貫禄」がついたら引き受けてみようとは思うけど、今の私はポスドクの身分。それに無給貧乏サバイバルって意外と楽しいしね。
▼ Nature Drosophila long-term memory formation involves regulation of cathepsin
activity。Drosophilaの嗅覚オペランド長期記憶。カテプシン(Cathepsin:細胞内システインプロテアーゼの一種)の“競合的”阻害タンパクであるcrammerのmutantは長期(24Hr)記憶が選択的に抑制されている。面白いことに記憶を媒介しているcrammerはMushroom体周辺のグリア細胞に発現しているもので、学習獲得の3時間後にcrammerのmRNAが一過性に減少することも確認している。
▼ Nature Conceptual precursors to language。なんと潔いタイトル。言語にはその体系に依存した語彙があるわけだが、そのカテゴリー化は言語取得以前に確立しているようだという内容。ザッとしか読んでいないので理解不十分だが、面白い話っぽい。でも、なんで対照言語に韓国語が選ばれたんだろう?
▼ Nature Comparison of population coherence of place cells in hippocampal subfields
CA1 and CA3。Knierimの最新論文。F1000でのMoser氏の評によれば「@ CA1とCA3の機能的な差を示した点、A CA1は(CA3の下流にあるにもかかわらず)CA3とは独立に機能しうる点、B
CA3は自己連合アトラクター回路である点、の3つを示したことが重要」とのこと。実験はスライド回転するケージに入れられたラットの海馬CA1とCA3から同時unit記録することで行われている。大まかに言えば、CA1の方がrepresentationが大局的で、一方のCA3はより近視的なものをコードしている。それゆえに、CA3は遠方の変化を反映しない傾向があるのに対し、CA1は一部の環境変化だけで反応特性が崩壊しやすい。当然、環境の回転角を神経反応からDecodeしようとするとCA3の方に正確性の分がある。薬作の人は全員必読。同時に執筆されている同グループのこちらの論文も参考に。
▼ Neuron Eye Opening Rapidly Induces Synaptic Potentiation and Refinement。開眼期ラットの上丘(superior colliculus)スライス、浅灰白層からパッチ。2種の異なったKineticsのNMDAカレントが検出されるが、このうち遅い成分はNR2Bによるものであって、この成分は開眼後1日間だけ一過性に増加する。これに伴いAMPA成分が遅れて導入されシナプス結合は強化され、同時にSynapse
Eliminationも促進され、全体として回路が整う。ところで、この神経の入力は視覚系以外のニューロンからの入力はないのかな。
▼ Neuron Subunit Rules Governing the Sorting of Internalized AMPA Receptors in Hippocampal
Neurons。海馬培養細胞。endocytosis後のAMPA受容体の運命がサブユニットによって異なることを示した論文。ただしGluR1-4は通常ヘテロマーとして存在しているので、その兼ね合いが重要なのだが、その辺りも一部詰めていて、GluR1-GluR2だったらGluR2がドミナントらしい。これは納得できる。GluR2についてはsiRNAも使っている。導入は燐カル。
▼ Neuron Class-Specific Features of Neuronal Wiring。canonical cortical circuitの話題。GABA性神経の軸索はtortuosityが高く、branchが短い。それ故にcanonical。一方、錐体細胞からGABA性神経への投射は(一見すると)非特異な軸索軌道。つまり潜在的なポスト標的が近くにがあるからといって近寄っていったりはしない。ちなみに錐体細胞vs錐体細胞の結合はspineによってspecificityが発現されているらしいことは彼ら自身が前報で示している。MKY先生は必読。他にもこちらの総説も参考になる。
▼ JN Differences in Hippocampal Neuronal Population Responses to Modifications
of an Environmental Context: Evidence for Distinct, Yet Complementary,
Functions of CA3 and CA1 Ensembles。上記のNature論文とモロに関係する内容。ただし、こちらは電気生理ではなく、IEGの発現をPost
Hoc解析することで神経活動をモニターしている。実験系は実に巧妙にできていて、ArcとHomer1aの最終mRNAの産生までにTime
Lagがあることを利用し、2回の連続行動試行の神経活動の差を同一動物内で比較している。結果はNature論文と似ていて、CA3はcueの相対位置変化に鈍感であって、それゆえにContextualな情報はCA3ではSparseでしかないという結論。
▼ JN The Ventral Striatum in Off-Line Processing: Ensemble Reactivation during
Sleep and Modulation by Hippocampal Ripples。McNaughtonラボ。“Off-Line Processing”とはしゃれた言葉をタイトルを使ったなあ。ラットT迷路、腹側線条体からUnit記録。線条体でも睡眠中のpattern
replayが起こるという内容。海馬→Ventral Striatum pathwayの生理学的データとしてけっこう貴重な論文だと思うんだけど、そもそもVentral
StriatumにもPlace Cell様の活動が見られること自体、私には面白いぞ。ねえ、KN君?
▼ N Dissociation of function within the hippocampus: effects of dorsal, ventral
and complete excitotoxic hippocampal lesions on
spatial navigation。ラット海馬破壊。水迷路&T迷路学習。海馬体は背側から腹側にかけてキュウリのような細長い形をしているんだけど、背側がより空間記憶に重要だという内容の論文。
▼ 今日のキーワード検索: Yahoo「糸数 薬作」 はい、高名なお方です
▼ 今日のキーワード検索: Yahoo「脇腹 贅肉」 大きなお世話っす
▼ 一口英語教室: 「がんばって」 → Good luck. ※ 厳密には英語には日本語の「がんばって」に相当する表現はない
7月22日(木)
▼ 午前はRafaに定期報告のメールを書く。データもないくせに思わず力が入って長くなってしまう。
▼ 午後は昨日取ったデータを自分のHDDに移動しながら、review中の論文について考える。
▼ linear discriminant analysis(LDA:線形判別分析)を使った初期の論文二つ(これとこれ)。特に前者は秀逸な論文だと思う。ちなみにmultidimensional scaling(MDS:多次元尺度構成法)はYusteラボでもよく使っている。この手法はUnsupervisedであって、supervisedのLDAとは区別される(クラスター法の分類は例えばこちらを参照)。
▼ ジョン・ケージの「In a Landscape」の楽譜が欲しい。弾きたい。NYに居るうちは専門書店で大抵の楽譜は直接買えるんだけど、日本に帰ったらマニア系楽譜の入手は一苦労だからなあ、いまのうち買っておくか。
▼ 私の家ではテレビは「Time Warner社」に契約しているのだけど、そこに登録された私の名前のスペルが間違っている。請求書の宛名が間違ったままの名前で届くのだ。面倒だから別に訂正もしていないんだけど、誤登録の理由は明らかに私の英語力のせい。渡米したての頃の私のツタない英語力(まあ、いまでもカタコトだが)が伺えて恥ずかしい限り。だって「Yuji
Ikegaya」と電話口で伝えたかったのに「Ugyuji Ykegaya」と登録されているのだから苦笑いするほかない。
▼ Pooneilさん情報:ホームページ上では ♥ と入力すると「♥」が出せるんだね。知らなかった。そもそもハートマークってMS-Wordなどでも標準で付いていても良さそうなのになあ。
▼ Cell A Neurotrophin Signaling Cascade Coordinates Sympathetic Neuron Development
through Differential Control of TrkA Trafficking and Retrograde Signaling。マウス交感神経。NGFとNT-3は共にTrkAの内在性agonist。共に軸索伸展を促進する。しかし、NGFについてはTrkA受容体と結合した後に取り込まれ、retrogradeに細胞体まで運ばれる。そして遺伝子発現を調節することができる。NT-3にはこの能力はないので、細胞全体へ及ぼすGlobalな効果(=生存促進効果)はない。さらに面白いのが、NGFはp75発現を通じてNT-3の作用を遅延排他するが(図3E)、(ここでは調べてられていないが、論理的にはおそらく)その逆はないという点だ。Compartmentalized
cultureは薬作でもやってみたい手法。
▼ Cell FGF22 and Its Close Relatives Are Presynaptic Organizing Molecules in the
Mammalian Brain。医科研・梅森久視さんの論文。表紙にもなっている。培養chick運動神経のsynapsinのclusteringを指標に、幼若マウス前脳のextractからsynaptogenesisを担う分子をスクリーニングしたところ、FGF7、FGF1、FGF22を同定。さらにFGF受容体FGFR2をconditional
KOすると小脳苔状線維シナプスの形成が阻害される。
▼ Science Acquired Dendritic Channelopathy in Temporal Lobe Epilepsy。BernardはCossartの元同僚。今はJohnstonと仕事しているんだね。ピロカルピン癲癇ラットCA1錐体細胞dendriteパッチ。てんかん動物ではaction
potentialのback-propagationが増加しているが、これはA-type K+ channelの制御が減じているから。あとは薬理実験。個人的にこういう視点の論文は好き。
▼ TINS Interneuron Diversity series: Plasticity of interneuronal species diversity
and parameter variance in neurological diseases。このシリーズもいよいよ病気絡みへ。とはいっても虚血&癲癇なんだけど。でも、歯状回の回路が取り上げられているので読まないと。
▼ TINS Control of neuronal phenotype: what targets tell the cell bodies。
▼ TINS Milestones of neuronal development in the adult hippocampus。JAKさん、NK君。
▼ TINS Presynaptic induction and expression of NMDA-dependent LTP。流行モノ。
▼ 一口英語教室: (相手を讃えて驚きながら)「すごいね!」 → How could
you!
7月23日(金)
▼ 今日は雨。週間予報も全部雨雨雨。予想最高も連日21〜23℃。どうなってるんだ。今年はなかなか30℃にいかない。まあ暑いよりはいいか。
▼ 一日中、新コンフォーカルの修理と設定。Olympus社から助っ人が2人来てくれた。大分良くなったが、でも本質的にはまだまだだ。どうやら製品のスペック自体の問題らしい。私が普段使っているPerkin
Elmer社のSpinning Diskが作動している所を見せたら、あまりの高性能に「信じられない」と驚いていた。同じHamamatsuのカメラを使っているのにね。
▼ 夕方は黒川さんと佐藤君と中華に行く。
▼ Gouldさん: このHPのムービー、がはは、ちょーウケるんだけど。必見(?)。Wojtowiczが作ったのか? ここで使われているのはデュカスの名曲「魔法使いの弟子」。
▼ 一口英語教室: 「足元に気を付けて」 → Watch your step.
7月24日(土)
▼ 午前、隆二の論文をみる。
▼ 午後、友人の友人のお宅へ。クラシック音楽の話など楽しかった。ピアニストの平田真希子さんも、そこにいらしていたので、いろいろ弾いてもらう。バッハ、ショパン、ドビュッシーなど素晴らしく、何よりプロコフィエフのピアノ・ソナタ第4番を解説付きで弾いて頂けたのには深く感動。心から良い曲だと思った。。ちなみに、ドビュッシーの名曲「月の光」は、平田さん曰く、『これはれっきとした3拍子の“舞踊曲”なんだら、自由に崩して弾いてはイケナイ』んだそうで、この解説も目から鱗だった。
▼ 今週のF1000: BN Chimpanzees (Pan troglodytes) are predominantly right-handed: replication
in three populations of apes
▼ 今週のF1000: NC Nonlinear population codes
▼ 今週のF1000: Science Robust Temporal Coding in the Trigeminal System おっと、これ、うっかり見落としていた。SF君、MTさん必読。
▼ 一口英語教室: 「頭上に気を付けて」 → Mind your head.
7月25日(日)
▼ 朝は連載のための文章を書く。今回はこれとこれを取り上げる。
▼ 午前はRXY君の論文に目を通す。よく書けている。さらなる上を目指すため、ストーリーの大幅変更を考えてみる。うまく行くかはわからないけど。
▼ 午後は大ヒット中の映画「スパイダーマン2」。なるほど確かに面白い。私は好きだ。あと、森山さんが大推薦する理由もよ〜く分かった(笑)。ただ私のこの映画の感動は、いくらSchwartzやNicolelisの一連の研究がスゴいと思っていても、そちらの方向には行かないかな。
▼ 夜は先日の「小橋vs秋山戦」のVTRをみる。やはりスゲえ。
▼ 一口英語教室: 「閉まる扉にお気を付け下さい」 → Stand clear of the
closing door, please. ※ ニューヨークのMetroとは違い、ロンドンのUndergroundでは、この常套句をとてもゆっくり発音していた。
7月26日(月)
▼ 今日は一日中、発表のためのスライド作り。なんか俺、センスないなあ。
▼ KN君の論文の返事がくる。Minor Revisionを要求されたので、夜はこれの改訂。明日には返送する予定。
▼ TY君の論文の返事がくる。。。私としてはまだまだ粘りたいところだが。
▼ 『進化しすぎた脳(仮題)』(旧:「高校生のための脳講義」)の初稿ゲラが届く。全400ページ近くになっている。気軽に読める本にしてはブ厚すぎないか心配。まずは気合いを入れてチェックだな。
▼ 昨日、書き忘れたが、スパイダーマンは普通の人間に戻ったときはピーターというサえない大学生なんだけど、でも、彼が通っているのはコロンビア大学。頻繁に出てくるあの構内の風景は、私がいつも通勤している場所。スクリーンに映ると美しく見える。ちなみに最後の教会での結婚式の場面は、大学から数ブロックほど離れたRiverside
Churchで、こちらは実物も美しい。
▼ ところでコロンビア大学は今夏に50億円をかけた大改築を行う。「夏休みは登校を控えるように」という異例の通達が、今日も改めてあった。
▼ 今日知ったHP。「偉人の名言集─池谷裕二」 偉人の定義ってなんすか?
▼ 私の夢。公立図書館などによく置いてある「最新名曲解説集(音楽之友社)」を全巻揃えること。日本にいた頃はよく借りて読んだものだが、自分では一冊も持っていない。
▼ JNP最新号。今号も魅力的な論文がずらあっと並んでいる。神経関連の雑誌としてはやはりJNPが私には一番面白い。ただ今日はきとんと読む時間がない。タイトルの列挙のみで、ごめんなさい。
▼ JNP Synchronous Unit Activity and Local Field Potentials Evoked in the Subthalamic
Nucleus by Cortical Stimulation
▼ JNP Phasic Stimuli Evoke Precisely Timed Spikes in Intermittently Discharging
Mitral Cells
▼ JNP Precision of Spike Trains in Primate Retinal Ganglion Cells
▼ JNP Tonic Activity of Metabotropic Glutamate Receptors Is Involved in Developmental
Modification of Short-Term Plasticity in the Neocortex
▼ JNP Presynaptic Inactivation of Action Potentials and Postsynaptic Inhibition
of GABAA Currents Contribute to KA-Induced Disinhibition in CA1 Pyramidal Neurons
▼ JNP Differential Temporal Coding of Rhythmically Diverse Acoustic Signals by
a Single Interneuron
▼ JNP Single-Neuron Discharge Properties and Network Activity in Dissociated
Cultures of Neocortex
▼ JNP Functional Stability of Dorsolateral Prefrontal Neurons
▼ JNP Presynaptic Activity and Ca2+ Entry Are Required for the Maintenance of
NMDA Receptor Independent LTP at Visual Cortical Excitatory Synapses。小松由紀夫先生
▼ JNP Optimal Impedance Control for Task Achievement in the Presence of Signal-Dependent
Noise。川人光男先生
▼ JNP Stimulation of the Parasubiculum Modulates Entorhinal Cortex Responses
to Piriform Cortex Inputs In Vivo
▼ 一口英語教室: 「花粉症なの」 → I'm allergic to pollen.
7月27日(火)
▼ 午前、新Confocal装置で実験。あいかわらずダメ。でも、今日は自分のミスもあったので再度チャレンジ。
▼ 昨夜、突然日本から問い合わせが来た。「先日依頼したreportですが、期限は先週だったんですけど」「え?その件は初耳なんですけど」「あ、そうでしたか?
では英語Single Space、A4で10ページ、すぐにお願い致します」。なんじゃそりゃあ。というわけで午後に慌てて総説書き。内容はSM君とAB君のβアミロイドのデータ。夜には原稿はほぼ完成した。っていうか、ひどく疲れた。
▼ Pooneilさんの日記より:「ひらひらのひらがなめがね」のシステムをつかって私のHPにルビをつけたらこうなった(→こちら)。「金芳堂」が「きむ かおる どう」になっている。なんかいい。とりあえず「池谷」を「いけがや」と正しくふられているのを見て満足。
▼ 妻が「誕生日の月別分布には偏りがある」というので、調べてみる。たしかに夏にはちょっと出生率が増えるみたい。んで、もっと顕著なのは「週内変動」だ。日曜日に生まれる子供の数は明らかに平日よりも少ない。お医者さんだって、そりゃ、週末は休みたいわな。
▼ 今日もあまり論文が読めない。完全にテンパっているな、俺。
▼ NN Multiplexing using synchrony in the zebrafish olfactory bulb。Laurentラボ。彼は2年ほど前からzebrafishの論文も出すようになっている。local
field potentialやpatchだけでなく、voltage-sensitive dyeも使って、odor提示後の嗅球僧帽細胞(mitral
cell)の反応を調べている。簡単にいうと、odorの「identity」と 「category」の情報は異なるスパイク列として同時に潜んでいる、という結論で、言ってみれば「rate
vs temporal coding」の話題でもあり、と同時に「binning」の話題でもある。非常にLaurentらしい、(つまり私の好みのタイプの)論文である。ところで全然関係ないけど、どうも私は「zebrafish」と「zebrafinch」を一瞬読み間違えてしまう(どちらも脳科学には欠かせない素材ではあるけど)。
▼ NN A morphological basis for orientation tuning in primary visual cortex。Fitzpatrickラボ。未読。
▼ NN Olfactory receptor neuron axon targeting: intrinsic transcriptional control
and hierarchical interactions。Luoラボ。未読。
▼ NN Early life experience alters response of adult neurogenesis to stress。Gouldラボ。プリントン大学に移ってから久々にみる彼女の論文。仔ラットを母親から離すと、顆粒細胞の分裂能が減少する。すでにMcNamaraらも類似の報告をしているので驚くべき程のデータではないが、これがcorticosteroneへの感受性の増大によっていることを示していることがこの論文の有意義な点。ちなみに孤児ラットでもcorticosteroneの体内レベルそのものはControlと同程度。
▼ MCN Theoretical consideration of olfactory axon projection with an activity-dependent
neural network model 平田たつみ先生。未読。
▼ 一口英語教室: 「んで、君はどうなの?」 → How about you?
▼ 明日から週末にかけて、カナダに旅行。
7月28日(水) カナダ
▼ シカゴ経由でカルガリー。そこからバンフへ。
▼ さすがに日本で大人気の観光地だけあって、日本人がたっくさん。こんなに大勢の日本人にあったのは久しぶり。英語、フランス語、そして第3の公用語が日本語だということだ。たしかにそうかも。
▼ 夕方から動物を探しにバンフ周辺の森を車で巡る。マウンテン・ゴートやビッグ・ホーン・シープ、オジロジカ、ミサドなど。でも思ったほど出会えなかった感じかな。
▼ JN Dominance Hierarchy Influences Adult Neurogenesis in the Dentate Gyrus Yevgenia Kozorovitskiy and Elizabeth Gould。あら、昨日に引き続きまたGouldラボだ。
▼ JN Voltage Imaging from Dendrites of Mitral Cells: EPSP Attenuation and Spike
Trigger Zones Maja Djurisic, Srdjan Antic, Wei R. Chen, and Dejan Zecevic (方法チェックせよ)
▼ JN β-Amyloid Peptide at Sublethal Concentrations Downregulates Brain-Derived
Neurotrophic Factor Functions in Cultured Cortical Neurons Liqi Tong, Robert Balazs, Phillip L. Thornton, and Carl W. Cotman
▼ JN Brain-Derived Neurotrophic Factor mRNA and Protein Are Targeted to Discrete
Dendritic Laminas by Events That Trigger Epileptogenesis Enrico Tongiorgi, Mara Armellin, Piero Giulio Giulianini, Gianni Bregola,
Silvia Zucchini, Beatrice Paradiso, Oswald Steward, Antonino Cattaneo,
and Michele Simonato。RK君必読。
▼ N Glutamate transporters regulate excitability in local networks in rat neocortex S. L. Campbell and J. J. Hablitz
▼ N Ca2+-calmodulin signalling pathway up-regulates GABA synaptic transmission
through cytoskeleton-mediated mechanisms J. Wei, M. Zhang, Y. Zhu and J. -H. Wang
▼ 一口英語教室: (依頼されたときなど)「もちろんいいですよ」 → I don't
see why not.
7月29日(木) カナダ
▼ モレーン湖からハイキングコースを10kmほど歩く。天気は抜群。アップダウンがきつくて想像以上に疲れたが、しかし風景が素晴らしく、すこぶる満足だった。まずスタート地点のモレーン湖そのものが美しいのだ(写真はこちら)。こんな鮮やかな湖水は見たことない。もちろん入浴剤は混ぜられていない(はず)。こうした色は氷河湖の特徴らしい。
▼ バンフへの帰りはあえて旧国道を通った。すると沢山の動物たちを見かける。エルクやミュール鹿だけでなく、黒クマにも出会った。クマについては言えば、これを見るためにバンフ国立公園に来たようなものだともいえるわけで、さっそく夢叶ったわけだ。実際に見るとゾグゾグする。
▼ 夕方は買い物、そしてボウ川畔の散歩。念願だったアンモライトを入手。といっても妻に買ったペンダント・トップだけど。
▼ 夜は『ケグ(The Keg)』というレストランでアルバータ牛のステーキ(prime
rib)やサーモンを食べる。まぢ美味しい。
▼ バンフ国立公園の緯度は北緯50°を優に超えている。だいたい樺太の北端くらい。つまり昼が長い。夜は10時くらいまで明るいのだ。
▼ 一口英語教室: 「お好きなように」 → Suit Yourself.
7月30日(金) カナダ
▼ レイクルイーズ、ボウ湖、ペイトー湖(写真)に寄りつつ、ジャスパー国立公園に移動。コロンビア大氷原へ。雪上車に乗り換えてアサバスカ氷河を見学(写真はこちら)。この氷河、厚さは足下300mもあるらしい。一年に25mほど下流(?)に移動するという話だ。
▼ アサパスカ滝を見ながらジャスパー市へ。同市内に泊まる。
▼ カナダは水の豊富さでは世界一と言われているらしい。もちろん、アメリカとはちがって、水道水も飲める。地下水だけあって、すこぶる冷たい。
▼ Nature Neurons compute internal models of the physical laws of motion Dora E. Angelaki, Aasef G. Shaikh, Andrea M. Green & J. David Dickman
▼ NRN SHORT-TERM SYNAPTIC PLASTICITY: A COMPARISON OF TWO SYNAPSES Dawn M. Blitz, Kelly A. Foster & Wade G. Regehr
▼ 一口英語教室: 「お先にどうぞ」 → After you. ※ 私はたいてい「Go ahead」で済ませてしまう。
7月31日(土) カナダ
▼ マリーン渓谷に寄りつつ、マリーン湖へ。クルーザーに乗って、スピリット・アイランドへ。うーん、最高。心が安らぐ風景だ(写真はこちら)。
▼ 帰り道、今日もクマに出会った(こちら)。
▼ レイク・ルイーズに泊。ここは言わずもがなの有名地。そう、新婚旅行のメッカ。NN先生もハネムーンはここに来ている。
▼ 今日で旅は終わり。んで、感想。景色があまりにも美しいここカナディアン・ロッキー。天候にも恵まれて心ゆくまで満喫できた。あえて文句を一つ言うとすれば、私にはどの湖もどの山もほとんど同じに見えてしまうのだ。もちろん世界的絶景には違いないんだけど、たとえばアメリカのイエローストーン国立公園などに比べると、ちょと変化に乏しいのかも。まあ、言ってみればこれはスケールがデカいことの裏返し。大自然が好きな人にはぜひお勧めしたい。ベスト観光シーズンは6月下旬から7月上旬、もしくは紅葉の美しい秋とのこと。
▼ NRMCB。今号は「細胞骨格ダイナミクス」特集。
▼ 一口英語教室: 「どっちでもいいや」 → It makes no difference to me.
(2004年)
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