夢を叶えるために脳はある

池谷裕二 講談社


目次


はじめに


一日目 脳は夢と現実を行き来する

夢と現実
1‐1 脳を巡る旅の出発点
1‐2 最初の問 ーー脳はなんのためにあるのか
1‐3 夢を叶えるために脳はある
1‐4 私は「私」を証明できない ーー私ってだれだ?
1‐5 夢と現実を区別するには
1‐6 他者と共有できる経験は現実だ、の落とし穴

心と脳
1‐7 心と脳、同じか違うか ーー心脳問題
1‐8 念力でペンを浮かせてみよ
1‐9 2、4、8……この数列の法則は?
1‐10 僕らは「自分の仮説が間違っていること」しか証明できない
1‐11 なぜ人を殺してはいけないか、を考えよう
1‐12 宇宙人の倫理観、ヒトの倫理観
1‐13 神経細胞は「発火」する
1‐14 1000分の1秒で1万人に伝える
1‐15 電気信号の正体
1‐16 合計点に達するとチャネルが開く
1‐17 心の核心に至る道

脳の潜在力
1‐18 目が「前」についているのか、目があるから「前」なのか
1‐19 脳の活動を見れば何を考えているかわかる?
1‐20 「場所」は心のなかにある
1‐21 脳と人工知能を融合させてみる
1‐22 能力を可視化する方法
1‐23 誰でも絶対音感を持っているのに
1‐24 絶対音感と相対音感、コスパがいいのはどっちだろう
1‐25 将棋の一手、妙手と悪手をどう区別する?
1‐26 トレーニングで神経細胞を自己制御する ーー究極の学習法
1‐27 LとRを聞き分けられるようになった!
1‐28 英語とスペイン語、ネズミにも違いがわかる
1‐29 脳に眠った能力を覚醒させる
1‐30 バイオハッキングで赤外線が見えるようになった
1‐31 ICチップを埋め込んだら何が起こるか
1‐32 これは「感覚」なのか?

つながる脳
1‐33 他人の感覚を脳から直接受け取る
1‐34 イメージを伝えるのに言葉はいらない
1‐35 世界中の脳をつなげて巨大な回路を作ったら
1‐36 脳がつながると見える世界
1‐37 脳は一つ、身体は二つ ーー 一人か、二人か?
1‐38 不便なのは誰なのか、不便さをつくっているのはなんなのか

記憶の呪縛
1‐39 僕らは記憶の中でしか思考できない
1‐40 頭の中を読む3択クイズ
1‐41 過去の記憶が邪魔をして、僕らはそれを直視できない
1‐42 鏡像文字を書いてみよう
1‐43 ワンパターンな絵しか描けない ーー記憶の呪縛
1‐44 「遠くのものが小さく見える」は訓練の賜物
1‐45 見えているのは、再構成された「世界」なのに
1‐46 身体を使った経験がないと「見える」ようにならない
1‐47 新たな能力の獲得はむずかしく、獲得した能力を失うこともまたむずかしい

感じる時間
1‐48 心理時間と物理時間、どちらが先に生まれたか
1‐49 なぜ時間は存在する? 時間はどこに向かって流れる?
1‐50 僕らが時間を「感じる」理由
1‐51 記憶力が良くなると、時間の流れが変化する?
1‐52 「楽しい時間は早く過ぎる」が意味すること
1‐53 もし時間が逆行したら、記憶に何が起こるか

曖昧な記憶
1‐54 同調圧力で、見える色まで変わってしまう!?
1‐55 犯罪歴の偽記憶を脳内移植できるか
1‐56 いま感じているこの世界は本物だろうか
1‐57 神経回路は活動しながら組み替わる
1‐58 記憶はこんなに曖昧なのに、僕らは記憶を疑わない
1‐59 あのころ見た「赤」と、いま見ている「赤」は同じなのか?
1‐60 過去の記憶は答え合わせできない
1‐61 脳の使い方はみんな自己流 ーー脳紋からわかること

生きている実感
1‐62 私ってだれだ? 再び
1‐63 急に現実感が喪失する ーーゲシュタルト崩壊はなぜ起こる
1‐64 現実感を生み出す脳部位 ーー島皮質のはたらき
1‐65 退屈するくらいなら痛みが欲しい ーー脳波マゾヒスト
1‐66 「生きている」という感覚の正体
1‐67 自分が「自分」を眺めている ーー 一体なんのために?
1‐68 メモを取るメリット ーー知のスティグマジー
1‐69 「思索」と「確認」の往来=「賢さ」

物語と夢
1‐70 記憶の再生がブラウン運動だとしたら
1‐71 ヒトは物語をつくらずにはいられない ーーパレイドリア
1‐72 物語の創作、夢というシミュレーション
1‐73 手をあげさせた「もの」はなにか
1‐74 複雑な世界を有限個の神経細胞でコードする ーーセル・アセンブリー
1‐75 「なぜ眠るのか」という問いを問う
1‐76 睡眠と覚醒、夢と現実、そして意識


二日目 人工知能がヒトの本質をあぶり出す

曖昧な境界
2‐1 脳をつないで感覚を共有する
2‐2 白黒画像に色がついたように見える
2‐3 恐怖を減らし、トラウマを治療する
2‐4 脳の操作で顔の好みが変えられる?
2‐5 現実感が喪失する景色
2‐6 科学の目的はなに? 科学の醍醐味はなに?

理解の概念
2‐7 池谷裕二の専門分野は……
2‐8 見て覚えるより、書いて覚えるほうがよい ーー困難学習
2‐9 読みにくい文章ほど理解が進み、記憶に残る
2‐10 玉入れでよい成績を出すにはどうやって練習する? ーー地形学習
2‐11 勉強する順番が重要 ーー交互学習
2‐12 ブロック学習のほうが効果的、と確信があるのに
2‐13 「わかる」は学習を遅滞させる
2‐14 アマゾン川流域の古代人に「ゾウとはなにか」を説明しよう
2‐15 「わかった感」はあてにならない
2‐16 「地図は4色で塗り分けられる」をどうやって証明したか
2‐17 エレファントな証明
2‐18 ルービックキューブ、最強の戦略は
2‐19 ヒトにとって「わかる」とはなにか

人工知能二元論
2‐20 人工知能と人間の得意分野
2‐21 寄り道 ーー補講:人工知能の仕組みを解説しよう
2‐22 人工知能にとっての「神」のような存在
2‐23 手書きの文字を判別する ーーニューラルネット
2‐24 ディープラーニング(深層学習)へ
2‐25 深層学習のモデルは視覚野
2‐26 深層学習の成績は教師しだい
2‐27 ニューラルネット王政復古の衝撃
2‐28 ディープラーニングの中身はどうなっているのか
2‐29 気づいてはいるけれど、名前は知らない
2‐30 いかなる画像もただの数字の組み合わせ

人工知能とヒトの能力
2‐31 アノテーションで「意味」が灯る
2‐32 システムの素子はシステムの挙動を知覚できない
2‐33 脳波で疾患を判定する
2‐34 人工知能も直感を持つ?
2‐35 囲碁はヒトにはむずかしすぎるゲームだった
2‐36 「ポーカーなんて人工知能には楽勝」は大間違い
2‐37 心を理解するために、心は必要だろうか
2‐38 人工知能の原理がヒトにはさっぱり理解できない ーーブラックボックス問題
2‐39 人工知能とホンモノの恋愛はできるか
2‐40 「人工知能に心はあると思う?」 ーー人工知能に訊いてみた
2‐41 「○○されるのが怖いです」 ーー 人工知能の告白
2‐42 改めて「理解している」とはどういうことだろう
2‐43 人工知能の計算内部を理解するには
2‐44 「わかった気分に浸りたい」という人間のワガママ

科学と脳の限界
2‐45 科学とはなんだろう、再び
2‐46 科学的に都合がいいから、地動説が正しい
2‐47 「自然は美しい数式で表せられるはず」は時代遅れ?
2‐48 どうやって顔を判別しているのだろう
2‐49 単語や音楽を聞かせていったら何が起こったか
2‐50 「「「考える」ことを考える」ことを考える」……自己言及の無限ループ
2‐51 脳の限界には可能性がある
2‐52 どれもが正しくて、どれもが間違っている

ヒトらしさの誤解
2‐53 抽象から具象へ ーーディープラーニングの逆向き演算
2‐54 人工知能は創造性を持っている ーーそれは幻覚か?
2‐55 統合失調症の関連遺伝子が存在している理由
2‐56 人工知能が芸術性を評価する
2‐57 バーチャル詐欺師、バーチャル作家
2‐58 では、ヒトならではの仕事とはなにか
2‐59 カウンセリングを受けるならどっち?
2‐60 僕らはヒトらしいポイントを誤解しているかもしれない
2‐61 文字の発明で記憶力が衰えた?
2‐62 心がこもった手紙に感激する現代人
2‐63 ヒトの輪郭は人工知能によって明確になる

能力の多様性
2‐64 思い込みで記憶は入れ替わる
2‐65 注意を向けたことしか見えない
2‐66 人工知能に欠けているのは「思い込み」の能力
2‐67 脳のほうが学習が早く、エコでもある
2‐68 選択肢が増えると、選択しなくなる
2‐69 おとり選択肢に踊らされて
2‐70 できない人ほど自信過剰
2‐71 人工知能に思い込みや偏見を植え付けたら
2‐72 僕らは本質的に労働が好き ーーコントラフリーローディング
2‐73 理不尽な脳、合理的な人工知能
2‐74 目指す方向に進む vs. 嫌なことは避ける ーー大切なのは?

2‐75 将来の夢を語ってはいけない時代?
2‐76 面接で志望動機を訊いたところで
2‐77 念じて血圧を自在にコントロールできる
2‐78 やる気を生む脳部位を活性化させるには
2‐79 生き甲斐は、ヒトの不完全性から生まれる


三日目 脳はなんのためにあるのだろう

脳を刺激する美
3‐1 バーチャル俳優は現実の夢を見るか
3‐2 バーチャルだけど、人間より人間らしい?
3‐3 奇妙なのにかわいいと感じる
3‐4 生物進化は「適者生存」では説明できない
3‐5 実はキリンは低い木の葉から食べる
3‐6 我が子よりもかわいく見える
3‐7 抽象画に惹かれるのは、脳がバグを起こしているから
3‐8 具象画を描くには抽象化が必要

乱れる秩序
3‐9 早く1階に降りたい! エレベータに乗るか、乗らないか
3‐10 秩序あるものはいつか必ず崩れるのが、宇宙の大原則
3‐11 なぜエレベータはシンクロするのか
3‐12 平等なコイントレードで、エントロピーを増大させると

自由は錯覚
3‐13 「大金持ちはごく一部、その他大勢は貧乏」がもっとも安定
3‐14 場所細胞はどこにある?
3‐15 僕らは「空間」をどう感じているのか
3‐16 人工知能にもグリッド細胞が自然にできる
3‐17 実体のない「心」が物理的な「六角形」をしている
3‐18 とにかく六角形になってしまう
3‐19 僕らは制約された世界を見ている
3‐20 黄色は脳が生み出した幻覚
3‐21 見えてはいけないものを見てしまった
3‐22 「白い音」「白い香り」がある
3‐23 色のセンサを持っているのに、シャコには色が見えない
3‐24 光は光っていない、脳が解釈しているだけ

感知できない世界
3‐25 脳を使っている限り、閉じたループから抜け出せない
3‐26 赤外線、地磁気、CO2、超音波を感じる生物
3‐27「気の利かない人」になるには気づいてしまったらダメ
3‐28 進化しすぎた脳

知能の仕組み
3‐29 神経細胞はアナログの入力をデジタル信号に換える
3‐30 人工知能は単なるシグモイド関数の連なり
3‐31 ヒトは対数で変化を感じる
3‐32 対数をとると本質が見えてくる
3‐33 腸で人工知能を作る

脳の存在理由
3‐34 地球の覇者は脳を持たない生き物たち
3‐35 脳を持ってしまった僕らは、なんのために生きているのか
3‐36 生命が存在しない星になにか不都合はあるだろうか
3‐37 宇宙の法則に逆らって、生命は身体という秩序を保つ
3‐38 生物は非平衡開放系
3‐39 生命は分子の渦であり、エントロピーを増大させる
3‐40 僕らは生きているだけで、宇宙の老化を助けている
3‐41 生命という渦を通過すれば、早く秩序が崩壊する
3‐42 自然を効率よく破壊するために、脳が発達した
3‐43 環境保護運動は悪なのだろうか
3‐44 「なぜ人を殺してはいけないか」の一つの答え

脳の無限ループ
3‐45 自分が「脳」になったらどんな気分か想像してみる
3‐46 脳の中にいる限り、信号の情報源は知りえない
3‐47 どういうわけか、脳は「手が痛い」ことを知っている
3‐48 宇宙から届いた楽譜から宇宙人の音楽を復元する
3‐49 答え合わせはできないのに、脳は世界を復元している
3‐50 解釈するのは誰だ ーー自己アノテーション

3‐51 成長とはアノテーションの連鎖
3‐52 脳は脳の内部に、世界の原理のコピーを複製していく

私という現象
3‐53 「親」も「私」も実体ではなく現象
3‐54 「私」が虚構なら、この「私」はどこから来たのだろう
3‐55 ゴム手袋に「私の手」の感覚が生まれる
3‐56 身体パーツは増設して拡張できる?
3‐57 外界の情報を変換するルールは適当で構わない
3‐58 僕らの耳は「現実の音」を正しく復元できて当然 !?
3‐59 舌を刺激して、映像を「見る」
3‐60 「宇宙人の音楽」は根拠のない妄想
3‐61 いま感じているこの現実は、脳が演出するバーチャル世界
3‐62 夢を叶えるために脳はある、再び仮想と現実
3‐63 ナトリウムイオンの流れに浮かぶ仮想現実としての「私」
3‐64 私の主体は、身体ではなく名前にある
3‐65 私という現象は、透明な幽霊の複合体
3‐66 シミュレーションの二つの目的
3‐67 宇宙の進化をまるごとシミュレーションできる時代が来たら
3‐68 仮想的生命に心が芽生えたとき、殺してよいか‐仮想倫理学
3‐69 実はあなたも、未来人がシミュレーションした仮想
3‐70 この世界を解釈する三つの可能性
3‐71 証明することも、否定することも、原理的に不可能
3‐72 仮想のほうが現実味を帯びている
3‐73 夢と現の交差点に浮かぶ島
3‐74 「私はヒトである」と信じるのも、いわば宗教
3‐75 この世界のシミュレーションを始めたのは誰だろう
3‐76 わからなくてもよいと諦めるか、科学の定義を拡張するか

生命の原理
3‐77 「脳は何%使われているか」の解釈
3‐78 神経細胞の入力と出力を同時に観察する  ーーパッチクランプ法
3‐79 神経細胞のつながりは「人付き合い」と同程度
3‐80 シナプスはプラスチックみたいだ
3‐81 神経回路は不安定、脳の動作は安定
3‐82 脳の中は静寂
3‐83 神経細胞の発火はナトリウムイオンの流れだった
3‐84 低頻度で非同期な脳活動はいつかは止まるはず  ーーなにかがおかしい
3‐85 とんでもなく強いシナプスに出会う
3‐86 強いシナプスはAD変換ではなくDD変換
3‐87 シナプスの「パレート則」 ーー脳、おまえもか
3‐88 弱いシナプスは不要なのか
3‐89 哺乳類の脳は独裁を許さない ーー僕らが大きな脳を持った理由
3‐90 脳の動作原理を、ヒトの社会に当てはめてはいけない
3‐91 僕らは生きているだけで役に立っている

真実の相対性
3‐92 メビウスの輪をまわって戻ってきたら
3‐93 真実の階層を自由に往来できることも「知能」
3‐94 「エントロピー増大則はヒトが作ったもの」ということは
3‐95 人工知能には、僕らの思考の変遷が残る
3‐96 バイオハッキングと倫理観
3‐97 進化を諦めた大型動物、進化の速い小型動物
3‐98 風邪をひくのは「集団を守るため」?
3‐99 どれもが正しくて、どれもが間違っている
3‐100 学びを楽しむために脳はある3‐50 解釈するのは誰だ ーー自己アノテーション


補講 人工知能の仕組みを解説しよう


おわりに


参考文献






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