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6月1日(火)
▼ 朝、実験の準備をした以外は、ずっとデータ整理。あたらしいムービーの解析に取り掛かる。
▼ Rafaからの依頼でReviewを二報書くことに。。。しかも今月〆切とは。うち一方はGyorgy Buzsakiが主催で、Matthew A. Wilson、Michael P. Stryker、Amiram Grinvald、Anna Wang、Karel Svoboda、Lawrence C. Katz、James B. Dukeらがほかに名前を連ねているので、その中で書かせてもらえるのはとても光栄なことだけど、薬作の改訂中論文を抱えている身としてはちょっぴり泣ける。
▼ 通販で買った「RIO SU40」が日本から届いた。もちろん英語勉強用。FMラジオが聴けるのも嬉しい。
▼ 先週のVovanの文献紹介はAlonによるこれ
PNAS NMDA receptor hypofunction produces concomitant firing rate potentiation and burst activity reduction in the prefrontal cortex。freely moving SDラット。前頭葉からユニット記録。MK801を投与すると、ノイズ性の発火が増えて発火パターンがdisorganizeされる。これはstereotypy行動の増加と一致していたというが、発火変化との実際の“因果関係”がどうなっているかは興味があるところ。ちなみに発火率が増えるといってもburst発火自体は減るらしいのだが、これは私の論文のSOMデータとよく一致している。あと、こうしたburstを検出する統計方法の名称が“Poisson surprise method”というのは知らなかった。日本語にするとポアソンびっくり法!?
PNAS Voluntary exercise increases axonal regeneration from sensory neurons。ラットを回り車(Running Wheel)で運動させる。そしてDRG(脊髄後根節)を取り出して培養する。すると通常の動物よりもaxonがよく伸びるという。なんだか笑える。BDNFやNT3を介している可能性があるとのこと。
PNAS Completion of neuronal migration regulated by loss of Ca2+ transients。P10マウス小脳スライス。顆粒細胞の内顆粒層への移動を最長15時間に渡って観察。Ca transientを惹起する能力を欠失することでmigrationが止まるという。Ca transientの消失はisolated granule cellでも時間依存的に生じる。つまり、少なくとも部分的にはintrinsic programに依存して、細胞(の停止)位置が決まることになる。
今日のキーワード検索:Yahoo「池谷裕二 脳 苔」 まだまだ私の脳にコケはむしていないと思いますが。。。確証はないけど
今日のキーワード検索:Google「全裸 ダイビング」 つうか、風邪ひくよ
一口英語教室: 「ひどく頭痛がする」 → My head is killing me.


6月2日(水)
▼ 午前実験。時差ボケのせいで朝6時台から始めてしまった。
▼ 午後データ整理。ムービー一つ終わる。
▼ 夜はKN君の論文の直し。あまり進まず。っていうか時間掛かりすぎ。。。
▼ 食事をしながら先日のK-1 ROMANEXのVTRを観る。ネット上で結果を知っていてもやはり面白いものは面白い。
▼ SF君から「(Gaya&Glosterの論文は“Faculty of 1000”にリストされているだけでなく)“最近の論文Top10”に入ってましたね」とメールをもらう。このページのことかな? 確かにランクインしている。とはいえ6.4という評価点は良いのか悪いのか微妙。。。ちなみに「Faculty of 1000」にはMT君の昨年の論文も取り上げられている(こちら)。どんなJournalに出してもきちんと中身を評価してくれる人はいるんだなあと思うと心強い。
Nature Activity-dependent homeostatic specification of transmitter expression in embryonic neurons。Xenopus spinal cord。シナプス結合を作る前のcritical periodでは自発活動(Ca spike)のレベルが神経の型(transmitter phenotype)を決定するという衝撃的な論文(つまり、geneticに決まっているわけではない)。Kirを発現させて人工的に活動レベルを低下させると、グルタミン酸作動性またはコリン作動性神経細胞数が増えるし、逆にNaチャネルを発現させると減る。veratridineやblockerをアガロースゲルにloadして投与しても同じ結果が得られる。こうした現象はtransmitter replacementによって達成されている。でも、Ca spikeのパターンがgeneticalに決定されていれば、結局naturalな状態ではphenotypeはやはりgeneticallyに決まるよな。そこら辺が気になる。
JN Functional Integration of Embryonic Stem Cell-Derived Neurons In Vivo。Tau-EGFPをES細胞に導入。これをin vitroで神経前駆細胞(neural progenitor cell)に分化させて、子宮内のラット胎仔の脳室に移植すると、興奮性&抑制性神経細胞に分化した。今号の表紙にもなっている。JAK君とNK君は必読。
JN Removal of AMPA Receptors (AMPARs) from Synapses Is Preceded by Transient Endocytosis of Extrasynaptic AMPARs。 pHluorin GluR2でAMPA受容体のinternalizationを可視化。AMPA受容体はsynapse直下のものとextrasynapticのものがあり、ともにNMDA受容体刺激でendocytosisされるのだが、前者のremovalが数分オーダー掛かるのに対し、後者は秒オーダーですばやく取り込まれる。
JN Chandelier Cells Control Excessive Cortical Excitation: Characteristics of Whisker-Evoked Synaptic Responses of Layer 2/3 Nonpyramidal and Pyramidal Neurons。シャンデリア細胞(Chandelier Cell)のin vivo特性。この型のインターニューロンの性質や役割についてはあまり知られていないのでこれは貴重な論文。とりわけ図6の実験は芸術的。
JN A Novel Mechanism for the Facilitation of Theta-Induced Long-Term Potentiation by Brain-Derived Neurotrophic Factor。Lynchラボ。BDNFのシータ刺激応答(とLTP)に対する効果。 Apamin(やLei-Dab7 )の効果と似ているというのは「ふ〜ん…」といった感じ。一応、SK2チャネルのリン酸化は免沈で示している。
JN Presynaptic Mechanism Underlying cAMP-Dependent Synaptic Potentiation。高橋智幸ラボ(金子君の論文)。ラットcalyx of Held。プレのcAMPによる放出確率とreleasable小胞の増大はEpac(guanine nucleotide exchange factorの一種)を介していそうだということを示唆する薬理実験。
PRL Self-Sustained Activity in a Small-World Network of Excitable Neurons。Neilがこの論文の存在を教えてくれた。図6とかなかなか示唆に富んでいるし、(劇的な新規性には欠けるけど)全体としては面白い論文。こういうシミュレーションをやってみたいなあ、SF君?
一口英語教室: 「すぐできますよ」 → I should be done soon.


6月3日(木)
▼ 午前、実験。午後はデータ整理など。
▼ 夜は「本格焼酎ニューヨークへ行く:本格焼酎試飲会」で居酒屋「酒蔵」へ。石井秀弦さんの津軽三味線を聴きながら芋焼酎をあおる。黒麹系が私の好みだ。最後にデザートとして1972年ものの日本酒(古酒)を飲む。紹興酒みたいな甘さだった。
▼ pooneil日記:ふむふむ、勉強になる。MANOVAはお遊戯程度にしかやったことがなく、きっちり理解できていないのでいつか本腰を入れて習得しないと。あと、前々から引っかかっていたのだが、surprise methodによって不可避的に生じるα値による問題を「多重比較問題(Problem of multiple comparisons)」と呼んでしまうのは、いわゆる世間一般でいう“多重比較問題”の意味(定義?)と照らし合わせて正しいんだろうか。便宜上としてはいいんだろうとは思うけど…よくわかっていない私。
Science Odorant Receptors on Axon Termini in the Brain。Axelラボ。「Odorant Receptors on Axon Termini in the Brain」。タイトル通り。面白い。予想された結果ではあるが。
Science Mutations in a Human ROBO Gene Disrupt Hindbrain Axon Pathway Crossing and Morphogenesis。水平注視麻痺(horizontal gaze palsy with progressive scoliosis)という病気(の一部)はROBO3 のmutationであったという内容。
▼ っていうかScience誌って載っける内容が独特だなあ。ん?それとも逆にNature誌が偏っているだけなのか。そういえばLTPの論文は(ある特定のラボ以外は)Nature誌に通りにくいのは有名だしな。かのMalinowラボでさえ1995年の例の有名な論文以降はLTPではNatureには蹴られ続けているという。ところで吉田君のScience論文はなぜNatureじゃなかったんだろう。
今日のキーワード検索:Google「高校生」 これはスゴい!実際にこのキーワードでググってみたらなんと160万件ものHPが検索された。どうやってここに辿り着いたんだろう
一口英語教室: 「ちょっと今ヘコんでる」 → I am out of sorts.


6月4日(金)
▼ Reviewの執筆を開始。これは私が中心となってラボのメンバー数名で共同して書くもの。3日前に私の一存で各人に執筆部分を割り宛てたら、すでにGlosterから完成した原稿が返ってきた。速すぎる。。。でも、よく考えたら、そうだよなあ。私は英文を書くのにひどく苦労するけど、ネイティブにとって英語論文を書くのは、たとえば、私が日本語でこの日記を書くことくらい簡単なことなんだよ、きっと。
▼ 夕方はラボMeeting。Rafaが最近のラボの問題について提示した。Software共有 の問題だ。似たようなプロジェクトをやっている人同士でも、皆が別々にアルゴリズムを作り、それぞれ独立にデータ解析をしている。それは“ムダな労力だ”ということで、今後はCVS(Concurrent Versions System)を使ってコードを共通化しようという話になった。もちろん、Matlabの原理を理解しない私がVisual Basicで互換性の低い解析プログラムを作ってしまったのが一番の問題なわけで、私の新弟子の二人が今後どうするかというのも議論の焦点となった。
▼ 夜もReview書き。そして先日入手したマリア・テレジア柄アウガルテンのおちょこでお酒をちょびちょびと。
▼ Robertoからこの論文(Multicolor and electron microscopic imaging of connexin trafficking)の内容を説明してもらった。超有名論文。F1000でも貫禄の評価点10.4! これまで詳しい内容は知らなかった。ReAsH系のツールはすでに市販されているようだし、なんとなく薬作の研究にも応用できそう。
▼ アメリカのラボの(Yusteラボの?)良いところ: 普段からメンバー同士が盛んに研究内容について議論すること。日本人だったら「休憩中くらい仕事の話はやめようぜ」というような場面でもどんどんdebateする、また日本人だと恥ずかしくなるような簡単なことでも積極的に話し合う。お互いデータを隠さないし、相手が何をやっているのか何をやろうとしているのか、どこを相互協力できるかが手に取るように分かる。渡米したての頃はそんなカルチャーの違いに色々と驚いたものだが、今更だけど日記にも記載しておく。ちなみに、YusteラボではJournal Clubはいつも皆でアルコールを飲みながら行う。これも初めて参加したときは衝撃だったが、慣れてくるとなかなか良い習慣かも。
▼ かつて無料メールマガジンに凝っていろいろと読み漁っていた。でも次第に読む時間がなくなってきて、結局は大半を解除してしまった。今では3つしか読んでいない。その中でもお気に入りは小橋昭彦さんの『今日の雑学+(プラス)』 である。登録してもう何年も経つ。ある時から併載されるようになった「今日の遼太朗」のコーナーもほのぼのとしていて好き。んで驚いたことに、昨日の6月3日号では私の本「記憶力を強くする」がちょろりと取り上げられていたのだ(その前の回は「海馬」が隅っこの方に出ていた)。小橋さんとはもちろん面識はないけれどもなんだか嬉しくなった。
▼ 先週訪れたウィーン。そこで皇妃エリザベート(ことシッシー)に興味をもった。ネットでいろいろと調べてみる(たとえばこのHPなどは充実している)。知れば知るほど先月の皇太子殿下の異例発言を思い出してしまった(これ関係では今日もまたちょっとした動きがあったようだ)。
▼ このところ本調子みたい。今日もゴジラ松井は打ってくれた。早くも2ケタ本塁打に到達!
今日のキーワード検索:Yahoo「コーラの日」 そんな記念日があるんだあ。調べてみたら5月8日だそう。うむ、勉強になる
今日のキーワード検索:Google「全裸 バレリーナ」 だから風邪ひくってば
一口英語教室: 「閉店時間は何時ですか」 → When do you close? ※ 英会話では“I”や“you”という主語を多用する。これは日本にはない感覚で慣れが必要。7月20日の日記も参考に


6月5日(土)
▼ 朝6時半からReview書き(←単に時差ボケが治ってないだけ)。
▼ 妻はフレンチ料理教室に通っている。今日はちょうどその日で、洒落たオードブルを作って帰宅した。というわけで、明るいうちから赤ワインを飲みながら昼食。そしてまた総説書き。酒を飲んで論文が書けるのか!と言われそうだが、確かに私はアルコールにはあまり強くなくてすぐに記憶をトばしてしまう。でも、そう!それが良いのだ。翌日起床すると、記憶をなくした私が夜中に論文を仕上げてくれるのだ。こんなに楽チンなことはない。英文はもちろん結構ひどいけど、でも初稿としては悪くない。論文書きが嫌いな人にはお奨めの方法である。ただ今日はそんなに飲んでいないので、記憶のある私が苦しみながら書いている。先はまだまだ長い。
▼ 最近よく話題になっているジャズピアニスト上原ひろみさんがNYツアーでいらしているというので、夜は「ジャズスタンダード(Jazz Standard)」に聴きにいく。今回は金土日と3日間の出演なんだけど、聞くところによると昨日はNHKが録画に来ていたという。同じ静岡生まれとして応援している。実際に聴くのは今日が初めてで、小柄な体から生みだされる強靱な演奏にまず驚いた。頻繁にオクターブを掴んで力強い感じだし、それでいて速いパッセージなどは軽妙で心地よい。私の知る範囲で喩えれば“アート・テイタムにモダンジャズ和声を乗せた”感じか。さらに時折見せる悪魔的とも言える恍惚感は最高。皆さんも機会があったらぜひ生で聴いて欲しい。演奏後は上原さんが観客席に混じってバーで飲んでいたので、声を掛けたら「ありがとうございましたぁ〜」と気さくだった。さっきまで呪詛的な演奏をしていた人とは思えないこのギャップ。
▼ 帰り道はタイムズ・スクエアの吉野家で牛丼を食す。ライスの種類が違うのを除けば味などは日本と同じだ。量はもちろんアメリカの方が多い。ただ日本と決定的に違うのはアメリカ人の食べ方。コーラと一緒に食べるんだな、これが。そして食べ終わったら甘〜いデザート。こういうのをすべて吉野家側がメニューとしてきちんと用意しているから、NYでもこれだけ人気を保っているんだろう。ちなみにニューヨーカーには牛丼よりも照り焼き丼が人気のようだ。
▼ 先日「ガヤ、セクシーの保存形式はどうなってるんだ?バイナリーかい?」とラボのBrendonから訊かれた。もちろん何のことかさっぱりだったが、よくよく聞いてビックリ。自作プログラムで解析されたデータファイルの拡張子を私は「*.sxy」としたのだが、それを「セクシー(sexy)」と呼んでいたのだった。「Spike発火時間とその細胞の位置(XY座標)」のデータだからそう名付けたのだが、英語圏の皆さんには異様に艶めかしく感じるみたい。ウカツだった。んで、これは公序良俗に反するだろうというわけで“txy”という新拡張子に改名した。「spikeのTimingとそのXY座標」という意味だ。そしたら昨日、「ガヤ、俺のPCではなぜかティクシーがうまく読み込めないんだよ」とAndy。なんだかキュートな名前になっちゃったなあ。
▼ レーガン元米大統領が亡くなられた。
N。Neutral Redを使ってin vivoでマウス小脳からimaging。結構キレイにシグナルが検出できるんだあ。
今日のキーワード検索:Yahoo「アミロイドベータ 感想」 これはシュールな検索だ…
今日のキーワード検索:Infoseek「横浜 ゲイ 小説」、Yahoo「エヴァ 情報コード」 それ系の探し物はこの日記では見つからないかと。。。
一口英語教室: 「いま何時ですか」 → Do you have the time? ※ theを抜くとナンパしていることになるので要注意


6月6日(日)
▼ 今日も朝からずっとReview書き。先が見えてきた。
▼ FMラジオからフランクの「ヴァイオリンソナタ」が流れてきた。一時この曲にはまったことがある。いろいろな意味で(つまり情緒的にも楽論的にも)名曲である。洗練された気だるさがたまらない。妻も反応していた。今日の演奏はパールマンだったけど、私のお薦めはティボーの歴史的録音(←あ、でもマニア向け)。録音状態はショボいけど、演奏自体は出だしの数秒からしてすでにヤバい。
▼ 夜は妻の友人らが我が家に集いパーティー。いちおう「映画お披露目会」ということなのだそう。アメリカ人だけでなくロシア人や韓国人もいて国際色豊か。途中で盲点の話などをすると面白がってくれた。
今日のキーワード検索:Google「動くシナプスと」 うむ…“と”のあとに続く言葉が気になる
今日のキーワード検索:Yahoo「モデル 全裸 局所」 なんすか?この局所って
一口英語教室: (適当に話を切り上げるとき等)「まあ、考えておこうか」 → We will see. ※ これ、ちょー使える


6月7日(月)
▼ 午前、AndyとDavidの研究報告。PDSに潜むアトラクター構造を示していた。
▼ NeilとDavidと3人で「Cell Contour (Neuron Mask)抽出アルゴリズム」の問題点について相談。結局パーフェクトな解法はないとの結論に。それ以外はずっと総説書き。本文はほぼ完成。あとは図を残すのみ。
▼ 昨夜のパーティー。ちょっとだけ日本語を教える。日本語は形容詞のシッポに“〜そう”につけると“It looks 〜”の意味になるんだよと教えてあげた。たとえば“おいしい”は食べる前だったら“おいしそう”といったほうが正しいんだ、とか。そしたら質問があった。「じゃあなんで“かわいそう”は“かわいい”と意味が違うんだ」と。。。ありゃま、確かに。父親が日本語の通訳をしているらしく、彼女は少しばかり日本の単語を知っているみたい。
▼ 妻が紅茶教室から「正山小種(ラプサンスーチョン)」を持って帰ってきた。良い風味だ。
▼ F1中国グランプリ。上海サーキットが完成したようだ。レースは9月末に開催。かなり難易度の高そうなコースに見える。
今日のキーワード検索:Google「マニア モデル 麻酔 夫婦」 この共通点が私には読めない…
一口英語教室: 「君次第だよ」 → It's up to you.


6月8日(火)
▼ 朝、実験の準備をちょこっとやった以外は、ずっと総説書きの続き。夕方には図もできて初稿が完成したので、ラボのメンバーにチェックしてもらうようにメール配布する。
▼ 夜は映画「ハリーポッター アズカバンの囚人」。私はLORよりもハリポタが好き。今回から監督が替わったので映画のカットやアングルなどずいぶんと雰囲気が違うが、むしろ優れているように思った。ストーリーもぎゅっと凝集されていて、これがまたけっこう面白い。ロンとハーマイオニーは第4作目からは役者が変わる予定だとか。本は未読。
▼ 今週は私が文献紹介の担当だったのだが、またも流れてしまった。Shimaさんが紹介してくださったNature AOPの論文を取り上げようと思っていたのに。。。PouillesとScanzianiはなんというか「こんなこともまだ解っていなかったのね」というような読者の目からウロコを落とさせる独特の視点を持っていて好き(というか羨ましい)。
▼ なるほど納得。有意binを他のbinと比較したら、それはいわゆる“多重比較問題”ってヤツと本質的に同じだ。私はαで切って残ったデータにのみ注目するところまでしか思い至っていなかった(これこそがpooneilさんの指摘していた問題点!)。だからMANOVAが解決を与えるといっているわけだね。pooneilさんのわかりやすい解説に大感謝。
▼ ところで多重比較問題ではなくもっと原始的なレベル=α値の話題。たとえば昨日ラボでの議論した細胞の輪郭を自動抽出するアルゴリズム、それから、カルシウム記録トレースからスパイク活動を抜き出す作業では、まさにそのαが効いてきて相当困る。multiunit記録でスパイクを分離するときにも同じことが言えるのだと思う。そこで我々も慣習にならってdisk-matching(←template-matchingのもじり) analysisの原理を応用しようかなあなどと考えている。もう一つの解決法は、α値を固定しないで局所状況に応じてαを自動変動させるという方法(αを固定して局所の情報エントロピーを最大化するようにバックを変動させても同じこと)で、こちらはもちろん恣意的なファクターを如何に排除するかが問題になる。ちなみに、CossartのNature論文では一切の規格化をせずにSD x 1で切って解析しているので、私はあのデータ(の一部)は解析法の上で多少の疑問を持っている(仮に正規分布であってもデータの31.7%はただのノイズになる)。というかそれ故に、検出したシグナルの“頻度”の点で私のデータと整合性がとれず困るのが最大の問題かも。
▼ それから、“Globalな研究促進”の意味で、実験結果のデータベース化は確かに促進されるべきで、将来は私も細胞地図とその巨大Rasterplotのデータ(←帰国後に出したデータについてのみだけど)を公開しようかなあなどと思っている。理由は二つある。(1) 私の数理解析法にミスがないかの多重チェックになる、(2) そもそも神経細胞の挙動は私一人の能力では手に負えないほど奥深い。なおYusteラボでは、たとえば「Library of Mouse Cortical Neurons(工事中)」と称してビオシチンで再構築した細胞の形態データを(失敗データも含めて)すべてネットで公開している。ここにはまだ論文になっていないものまでが公開されている。著作権とか特許とかプライオリテイーの言い分もわかるけど、単に科学の進歩を速めたいという純粋な視点だけからいえば、こうした<共有化>は大切な姿勢だと思う。ただ問題は神経科学のデータは遺伝子データベースなどとは違って個体毎・実験毎にヒドくばらつくわけで(ばらつかなかったら脳の意味がない!)、そこをどう適切に扱うかだろうなあ。
PNAS Bilayers merge even when exocytosis is transient。アブストしか読んでないけどタイトルが良いので掲載。もし同じデータで論文を書けといわれても私にはこういうタイトルは思いつかない。
CC Heterogeneity and Specificity of Presynaptic Ca2+ Current Modulation by mGluRs at Individual Hippocampal Synapses。Kullmannラボ。モルモット海馬スライス。GABA性神経の軸索終末のTwo-photon Ca Imaging。いろいろなことが書かれているが、面白いのは、Group III mGlu受容体刺激によるGABA放出抑制の機能標的がN型Caカレントにありそうだというデータ。
▼ 今日のキーワード検索: Google「美容 テタヌス」、Yahoo「STP 古着」 両方ともシナプス可塑性的にウケた
▼ 今日のキーワード検索: Google「ウィルス デジカメが壊れる」 そうなの?
一口英語教室: 「ここは模様見だな」 → Let's see here.


6月9日(水)
▼ 昨日は最高32℃、今日は34℃。ここ2日間、なぜか暑い。明後日からはまた涼しくなるみたい。
▼ 午前実験。ネバったが1例しか取れなかった。けどまあ良しとしよう。
▼ 午後はデータの移動&整理ほか。
▼ 夕方からは「Russian Vodka Room」へ。BoazとGlosterの誕生日パーティー。
▼ 折角Midtownまで来たので、ついでに映画「キルビル Kill Bill Vol.2」を観てから帰宅。当然、深夜になる。ま、それは良いとして、なんだかNYに渡ってから“わかりやすい”映画しか観ていないような。うむ、こんなはずじゃ。
▼ 今日、ラジオから流れていてびっくりしたのだけど、グラズノフ作曲『勝利の行進曲』っていう曲は「太郎さんの赤ちゃんが風邪ひいた〜♪」(地方によっては「権兵衛さんの赤ちゃんが風邪ひいた」とも歌うらしい)のメロディーではないか。。。知らなかった。こちらが原曲?
Nature Temporal difference models describe higher-order learning in humans。未読。
Nature Structural basis of the 1β subunit interaction of voltage-gated Ca2+ channels。同じ建物の一つ下の階のYangラボの論文。筆頭著者のYu-Hangとは英語下手アジア人同士でナニ気に仲良し(?)なのだ。彼がカルシウムチャネルβサブユニットの結晶解析に成功したことは大学内でも有名だった。山田先生の名前も並んでいる(1年半前、私とまったく同じ日にコロンビア大学にやってきた)。どうやらBack-to-backでの投稿のようだ。先日構内でYu-Hangに会ったのだが「いやあ、競争に負けなくて良かったよ」と言っていた。 でもこのNature2連報。実はすでに先月Neuron誌に出ていた論文の内容とまったく同じなのだ。笑える。世の中やっぱし運だな。
Neuron Precise Development of Functional and Anatomical Columns in the Neocortex。Svobodaラボ。P6-16ラットBarrel皮質。Caged glutamateのphotostimulationでシナプス結合をprobe。第2/3層神経細胞へのシナプス入力の空間マップの発達は速くて正確。そして、なにより重要なことはmonotonicであること。つまり(神経筋からの類推で)従来考えられていたものとは違って、「シナプス過剰形成→経験依存的な再組織化(synaptic elimination)」を経ないで、いきなり適切な回路が形成されるらしいという。この論文のみでそう結論付けるにはまだ早いが、Canonical Microcircuitを考える上で魅力的な説である。
Neuron A Double Dissociation between Hippocampal Subfields: Differential Time Course of CA3 and CA1 Place Cells for Processing Changed EnvironmentsKnierimはMcNaughtonの門下生でかつて「スペースシャトル(昨年墜落したコロンビア号)内でPlaceCellの三次元反応」を調べた論文の筆頭著者。ラット海馬CA1とCA3でPlace Cell(場所細胞)の反応の差異を調べた論文。動物が道順A→Bを何度も通ると、(Hebb-STDP則によって)BのPlace FieldがA側に尾を引くようになる(backward shiftと呼ばれる現象)。CA3細胞はCA1細胞よりもbackward shiftが惹起されるスピードが速い。つまりCA1はCA3の反応を参照にすることで現在と過去を比較できるのではないかと推測される。
Neuron。Silverラボ。ラット小脳スライス苔状線維−顆粒細胞シナプス。グルタミン酸SpilloverがAMPA受容体のゆっくりとした活性化に関与することをシミュレーションと実験の両面から示唆する論文。
JNS Modulation of Glutamate Mobility Reveals the Mechanism Underlying Slow-Rising AMPAR EPSCs and the Diffusion Coefficient in the Synaptic Cleft。最近この“Hybrid Neural System”の潜在性に興味があって(軽くだけど)読みアサっていた(これこれこれこれこれ)ので、これも掲載。未読。
N Sprouting and synaptic reorganization in the subiculum and CA1 region of the hippocampus in acute and chronic models of partial-onset epilepsy。ラットてんかんモデル(カイニン酸、キンドリング、pentylenetetrazol)。CA1→subiculum投射の特異性がばらけるぞ(sprouting?)という論文。
一口英語教室: 「それでいいさ」 → It is good enough


6月10日(木)
▼ 約3時間をかけて、いまYusteラボを訪問中のMaas教授とその弟子の一人を交えて3人で延々と私のデータについて議論。MaasはRafaに言わせれば「ホップフィールド以降もっとも興味深い理論家である」ということだ。Science論文投稿以降に私が出した一連の未公開データをすべて紹介した。私自身はもうすでに手を引いてしまった例の「予測アルゴリズム」にはやはり興奮してくれた。「この方法は神経活動じゃなくても(金融市場などにでも)応用できるな」などなど。と同時に重要なミスも指摘してくれた。私のアルゴリズムはHopfieldの元来のアイデアより複雑なので、エネルギーの算出をオリジナルの式のままでは使用してはいけないらしい。つまり、「アトラクターはHopfield以前から知られていた。彼の特筆すべき成果は特殊条件下での回路の挙動を完璧に記述したことにある」というわけ(たとえばこの論文は超有名)。だから、「このケースではより汎化されたリアプノフ関数(Lyanopus Function)を使わなければダメ。最も簡単で特化されたケースではSebastian Seungこの文章などが参考になるだろう」ということだ。しかし何よりも『Introduction to the Theory of Neural Computation』(Krogh&Palmer&Hertz著)を読むように強く勧められた。これはよく知られた入門書。 さらに私の方法はunsupervised processを使っていることもあり「Tali Tishbyが唱えているModified Hidden Markov Model(隠れマルコフモデルの派生)も勉強したらよいだろう」ともsuggestをもらった。ここらへんの話の流れの意味は私にはまだ飲み込めていないが、明らかに“Machine Learning”の領域に踏み込んでいる。とりあえず先の推薦本は早速購入する。でも、ホントはもうこの仕事からは手を引いちゃったんだよなあ。
▼ ところで、Maasと話をしていて結構ウケたのは、たとえば理論系の論文を一緒にネットで探していたときのこと、「探しているのはこれですか」「いや、それもそうだが記述が具体的すぎる。もっと抽象的な記述の論文がいい」と何度も言うのだ。理論家にとってNeuron誌などの実験系雑誌に載っている数理系論文はあまりに具体的すぎて(だからこそ実験屋には都合がいいのだが)、汎用性が少なく面白みに欠けるらしい。でも私の場合(昔からそうなんだけど)数式が抽象的だと理解が大変。というか実際には数式の本質を理解するのは私には不可能かも。だってさ、「eiπ+1=0」というオイラーの式が“世界一美しい”とか言われてもねぇ。まあ、確かに美しいとは思うけど、でも私にはショパンの音楽の“美しさ”のほうが私には性に合っているのだ。
▼ このところTVで俳優レーガン(Ronald Reagan)の映画の追悼上映をずっとやっている。やっぱりかっこよかったんだね。
▼ Ogishimaさんの日記より ギャウロフとフレーニって夫婦だったんだ。。。知らなかった
▼ 普段から取材(や出演)の依頼メールや手紙が頻繁に来るのだが、申し訳ないと思いつつ基本的にすべてお断りしている。そしたら今日は研究室にまでテレビ出演の依頼の国際電話がきた。Yusteラボに直接TELという戦法はさすがに初めてだ。どうやって番号を調べたんだろ。NYにまで取材に行くとのことなんだけど、やはりここもお断りする。でも、びっくり。
▼ これからはできるだけタイトルも書くことにしよう↓
Cell Using a Quantitative Blueprint to Reprogram the Dynamics of the Flagella Gene Network。転写制御ネットワークのin silicoモデル。前報を拡張して、転写因子FlhDCとFliA(線虫の繊毛形成をコントロールする遺伝子)の相互作用のモデルを打ち立てて、両因子の活性を変調させたときの結果を予測。さらに実験でも確認したというもの。近い将来、Mutationをかける標的遺伝子の決定は専らこういう路線でやるようになるんだろうな。
▼ Cell (1) Gene Switching and the Stability of Odorant Receptor Gene Choice、(2) A Contextual Model for Axonal Sorting into Glomeruli in the Mouse Olfactory System、(3) Axon Guidance of Mouse Olfactory Sensory Neurons by Odorant Receptors and the β2 Adrenergic Receptor。嗅神経の話題。いずれもNY発信。この3つの中では(1)がまず面白い。発達途中ではなんとodorant受容体の発現が変化しうるというのだ。残り二つの論文はMombertsラボからで軸索誘導の話題。(2)は発現しているodorant受容体が“axonal identity”に効いていて、他との兼ね合いよって軸索が“自己組織的”に投射マップ形成しているという話。(3)はodorant受容体が“axonal identity”や軸索誘導にどれほど効いているかどうかを、受容体をマルチに発現させたり、キメラを作ったり、β受容体で置き換えたりして調べている。と軽く流しているがとりわけ最後の論文には、実に重要な知見(でもマニアック)がぎっしり詰まっている。
Science Word Learning in a Domestic Dog: Evidence for "Fast Mapping" 。私の好きなイヌ話題。1994年12月生まれのボーダー・コリー種のRico君は人間の言葉を200種類も覚えている。彼を使って、(言葉を操らない動物さえでも)任意の“音列”を特定の単語に連合付ける能力があることを示している。この能力があるから、初めて聞く単語の指示内容を「exclusion learning」の原理によって類推できるのだという内容。心理学的な側面を理解するにはこの辺の論文も読まないといけないな。ところでこの論文、Figureが一つもないのが驚き。
CC Environmental Control of the Survival and Differentiation of Dentate Granule Neurons。JAK君の論文が(書いてから2年経って)ようやくOnlineで出た。歯状回顆粒細胞は成体脳でも生成されるが、その新規な軸索“苔状線維”の誘導はあらかじめ存在している古い顆粒細胞の軸索に沿って伸びることで効率化されていることを示唆した論文(だと思う)。
Hippocampus Parallel activation of field CA2 and dentate gyrus by synaptically elicited perforant path volleys。Current source-density(CSD)解析を使って貫通線維がCA2のSLMに入力していることを示した論文。
▼ 今日のキーワード検索: Google「ホモ 相手を見つけるには」 その手のマテメソをこの日記に書いた記憶は…
▼ 今日のキーワード検索: Yahoo「ピロカルピン ライブ」 ある意味、ドラッグ系ライブ? さぞかし烈しいコンサートだろうなあ っと思って調べてみたらそういう名前のバンドがホントにいるってわけだね。
一口英語教室: (店で服を探しながら)「これの青ある?」 → Do you have this in blue?


6月11日(金)
▼ 午前、Maasとラボの皆でMeeting。全員で3時間に渡り延々とハードな議論。共同研究はできるか、できるとすればどの部分をどの程度まで可能か、などというかなり具体的な内容だった。正直ってあまりに高度すぎて(かなあ?)私は20%くらいしか理解できなかった。まあ、主な原因は私の英語力。とりあえず私のrasterのデータが必要だというので供与する。どんな解析結果が出るか楽しみだ。
▼ 午後は総説の直し。JasonとBrendonにコメントをもらったんだけど、英語の表現をたくさん直された。それはそれで落ち込むなあ。でも感謝。
▼ 今日昨日と「記憶力を強くする」の文章を教材(小中の国語の問題など)に使わせて欲しいという依頼が3件つづいた。もちろんこういうのは大歓迎。これまでにも類似の依頼は何度もあったけど、自分の文章が「国語の問題」使われるのは何度見ても新鮮だな。ちなみにいざそのテストを解いてみると自分の文章なのに100点満点が取れない。“ここで作者は何を言いたいのでしょう”的な選択問題でさえしばしばハズす。思えば学生時代から「国語」という教科は苦手だったなあ。。。 そういえば、かの小川国夫氏も「自分の小説が大学入試(たしか早稲田大学)に取り上げられたので、自分で解いてみたら不合格点だった」と言っていた記憶がある。
▼ 今日のキーワード検索: Google「通研 現場検証 盗難」、Google「大学で不当な」、Yahoo「捏造 データ 論文 nature」 物騒な世の中ですな
一口英語教室: (ちょっと席を外すときに)「失礼します」→ Could I be excused?


6月12日(土) カナダ
▼ 長い一日だった。
▼ 朝3時に起きて、バスに乗りはるばる8時間。国境を越えてモントリールへ。目的はもちろんF1カナダGPを見るため。
▼ F1を生で観戦するのは始めて。席はなんとスタートラインの正面(フェラーリ・ピットの正面でもある)。運が良かった。んで、やはり耳栓なしでは観戦できないんだね。念のため持ってきて助かった。
▼ 今日は予選の日。佐藤琢磨選手が日本人初のポールポジションをゲットする瞬間が見られるのではとワクワクしながらやってきた。期待通り、途中まで最速ラップを刻んでいたが、最後のシケイン(私の席の左斜め前方)でスピンしてしまったのが残念。明日の巻き返しに期待しよう。
▼ その後は市内を観光。ノートルダム寺院など。モントリオール市はもちろんフランス語なんだけど、聞けば(他のケベック州の都市とは違って)住民の80%は英語話せるとのこと。街にはこんな言語の融合もある(モントリオール市だけではないかもだけど)。ところで、モントリオール(Montreal)っていう綴りをよーく見ていたら、これって「Mont・Real」、つまり「Royal Mountain」という意味なのかな。誤推?
▼ ホテルは無料でネットに繋げられて快適。
▼ 今日のキーワード検索: Google「バナナ GABAa」 なんすかこれ? まあ植物でもGABAが重要なのは確かだとは思うけれど(これこれ)。
一口英語教室: 「もう日記はやめようか」→ I might close the diary soon.


6月13日(日) カナダ
▼ 朝からジル・ビルヌーブ・サーキットへ。F1本戦のスタートの迫力は、、、まじスゴい。
佐藤琢磨選手はピット・スタートだったが、途中スピンしながらも10位まで上がってくる。しかしその直後にエンジンが白煙を吹き上げリタイア。ちょー残念。試合は、5番グリッドからのスタートながら常に安定した走りでいつの間にか首位に立っていたミハエル・シューマッハ(←2回ピットストップ戦略)が貫禄の優勝。恒例のシャンパン掛けもナマで観られて大満足。
▼ 帰りのバスは渋滞に巻き込まれて、NYに到着したらすげぇ深夜。でも明日は朝早起き。
▼ 今日のキーワード検索: Google「マイケルジャクソン bad 日本人 誰 隣」 なんだかわからないけど純粋にウケるなあ
▼ 今日のキーワード検索: Google「池谷裕二 妻 写真」 お見せするモノでは…
一口英語教室: 「飲み過ぎた」 → I drank too excess.


6月14日(月)
▼ 眠い目をこすりつつ早朝から実験。途中9時からGlosterの研究報告。
▼ 昼。カナダで仕上げた“英語の教本(仮題『魔法の発音 カタカナ英語』)”の原稿を講談社に送る。文章自体は完成に近づきつつある。この本の狙いは「英語の発音をカタカナで表してみよう」というもの、だから本の3分の1は単語の列挙である。たとえば神経科学の専門用語に限って言えばこんな感じになる。本書はこのように英語をカタカナに置き換えるための法則を著したものだ。言うまでもない。これは邪道である。でも、こんな本を必要としている人はきっと私以外にもいるだろうと勝手に妄想している。早ければ9月に出版されるはず。
▼ 午後は総説の最終版を仕上げて再度ラボのメンバーに送信。
▼ 夜はSF君の論文。
▼ 妻が大学院の宿題で『言語における語彙の豊富さとその文化背景』について論説を書いている。たとえば日本では「魚」を表す言葉が多い。出世魚などは良い例。ワカシ→ワカナゴ→イナダ→ワラサ→ブリ、これに加えて養殖したイナダのことを関東ではハマチと呼ぶ(そのほか多く地方バージョンが存在)。 いずれにしても、これらはすべて同一種であって、実際、英語ではまとめて「yellow tail」と呼ぶ。文字通り「黄色い尻尾」の意味。んで、面白いのは英語でyellow tailと言ったら、ブリだけでなくシマアジもカンパチもヒラマサも含まれてしまうこと。つまり英語圏ではこれらの魚は区別されていないわけだ。同様にして、日本には「米」を表す言葉が多いのもよく知られている。「苗、稲、穂、米、ごはん」などなど。英語で言えばすべて「rice」のところを、日本人は状況に応じて言い分けている。実際、我々は欧米人が「ライスを植える(I plant rice)」と言うのを聞くと、英語としてはパーフェクトなのだが、どことなく違和感を覚える。もちろん、逆も真である。私たちがスーパーマーケットの食肉売り場で「これ豚(ブタ)ですか?」と聞くのは欧米人は違和感を感じるらしい。「ブタ(pig)」と「豚肉(poke)」は単語として完全に別物なのだ。こんな感じで、どの分野の語彙が豊富かを見るとその文化が何を重要視してきたかを知ることができる。そこで先週、妻はYusteラボのBoazに質問した(彼は現代ヘブライ語を話す)−−イスラエルでは“ひげ”を表す単語は沢山ありますか……これ馬鹿ウけ。思わずビンラディンやフセインの顔写真を想像してしまった。。。んで予想は的中。やはりこの手の語彙は豊富らしい。いろいろ教えてもらえた。まあ確かに英語でも「stubble、whisker, beard、mustache(日本語では全部“ひげ”の意味)」とか一杯あるしな。ついでに「ひげを剃る」という動詞「shave」まである。中近東ならなおのことだろう。
JP Presynaptic kainate receptor facilitation of glutamate release involves protein kinase A in the rat hippocampus。ラット海馬スライス苔状線維シナプス。カイニン酸によるグルタミン酸の放出促進はcAMP→PKAを介している。まあ、ありうるだろう。問題はKA受容体からcAMPへの経路だ。ここではCa2+が考察されている。
JP Regulation of single NMDA receptor channel activity by alpha-actinin and calmodulin in rat hippocampal granule cells。ラット海馬スライス顆粒細胞outside-outパッチ。α-actininとcalmodulinはNR1サブユニットのC末に競合的に結合して、前者はNMDA受容体の開口確率を上げ、後者は下げる。
JP Synaptic interactions between pyramidal cells and interneurone subtypes during seizure-like activity in the rat hippocampus。ラット海馬スライスCA1。マルチパッチ。テタヌス後のSeizure-like afterdischargeにおける細胞間synchronizationを丹念に調べている。興奮性“GABA”シナプスによるRecurrent Loopを唱えている(前報からの拡張だと思われる)。この位の質の実験を薬作でもやらないとね。図9のカット実験はなかなか器用な技だ。ちなみにnormal ACSFと筆者らは言っているが、実際にはK+が3.7mMと高濃度であることは押さえておく必要がある。
一口英語教室: 「明後日にはもう日記の公開はやめよう」 → This diary will be closed to the public two days later. ※ 逆に“公開する”は 「be open [opened] to the public」という。いずれもpublicの前にtheを付け忘れずに。


6月15日(火)
▼ 朝、実験。
▼ 実験が早く終わったので、昼は薬作用の予算申請用の文章をちょろりと書く。
▼ 午後はRafaからもらったコメントを元に総説を書き直す。なんでRafaは文章がこんなに上手いんだろう。。。ほんの少し表現を変えるだけで見違えるほど文章が光り輝く。うーん、自信なくすなあ、俺。 んで、なんとRafaはこの総説のコレスポを僕に付けてくれた。嬉しい。
▼ NBA、ピストンズあっさり優勝。試合を見てても強そうに見えないのになぜか勝つ そこがいい。
▼ 私が学生達に力説してきた“研究者の必要条件−3箇条” 「I:器用であること II:要領がよいこと III:丁寧であること」 (← 各要素は似ているようだけど、でも完全に非なるモノ)。さあ、胸に手を当てて考えてみよう。言っている本人が明らかに条件IIIを満たしていないな。
▼ 昨年11月くらいから“韓国製”のインスタント餃子にハマっている。んで、捨てきれず結局昨晩も食べてしまった。
PLoS Electroencephalographic Brain Dynamics Following Manually Responded Visual Targets。Sejnowskiラボ。なかなかの力作に見受けられる、が、未読。
PNAS Functional organization of sensory input to the olfactory bulb glomerulus analyzed by two-photon calcium imagingこの論文の続報。FriedrichはLaurent派閥の人。マウスの嗅神経にcalcium dyeを順行性にloadしてglomerulusからtwo-photonで記録。glomerulusの反応は単位毎にはtemporal propertyに差異はないという内容。重要な知見ではあるけどわたし的には面白味は今ひとつかも。
NC Automated Algorithms for Multiscale Morphometry of Neuronal Dendrites。未読。
▼ 今日のキーワード検索: MSN「ガヤ 生物」 そりゃ、生物ですがな。。。たぶん
▼ 今日のキーワード検索: Google 「海外ポスドク 準備」 きっと大変だろうと思います、が或る意味、海外ポスドクは人生の天国、かもです
一口英語教室: (立ち話の後に)「話ができて楽しかったよ」 → Nice chatting with you.


6月16日(水)
▼ 午前。Rafaとこの夏の計画について相談。Rafaは夏は毎年恒例のサバティカルで長期(3ヶ月間)にわたってラボを留守にしてしまう。そこで夏にすべきことをまとめて議論した。予測アルゴリズムについてダメ元で少しだけ論文として公開しようということになった。少しだけとはいっても基本アイデアは放出することになる。掲載レベルはJNクラスか。
▼ 午後。データ整理とKN君の論文の直し。
▼ 夕方。妻の友人がロンドンから遊びにきた。週末まで泊まっていく予定。
Nature Routing of spike series by dynamic circuits in the hippocampus。Scanzianiラボ。ラット海馬スライスCA1錐体細胞Dual Patch。錐体細胞がspike出力をするとfeedback抑制が掛かるのだが、burst発火するときには初期相では細胞体が抑制されて、遅いphaseでは樹状突起が抑制される。そのメカニズムを詳細に追った論文。面白い。
Nature Structural basis of long-term potentiation in single dendritic spines。河西ラボから松崎さんの論文。ラット海馬スライス。eGFP&GeneGunで錐体細胞のスパインを可視化。Caged Glutamateで単一スパインを刺激するとスパインが肥大化し、それが長期的に持続するという内容。Yusteラボにも衝撃が走った。ただ、データは相関のみなのでこれがLTPの“basis”(←タイトルにこうある)なのか、単にLTPに随伴した現象なのかどうかも検討の余地あり。ついでに言うと、LTPの時にAMPA受容体のparticleがどこで挿入されるのか(Spine or Shaft?)はまだ決着が付いていなかったと記憶している、この肥大化が具体的に何を意味しているのかは今後の課題だ。
JN Synaptic Contributions to Focal and Widespread Spatiotemporal Dynamics in the Isolated Rat Subiculum In Vitro。ラットsubiculumスライス。Mg-free条件下でのstimulusevoked activity spreadを観察している。数少ない海馬支脚の生理学のレポートなので海馬屋さん達には精読の価値あり。


6月17日(木)
▼ 午前実験。Andyが(前のラボで)書いているとかいう論文に追加するためのデータ採り。
▼ 午後はKN君の論文用に新しい図を作っていたらあっという間に過ぎた。
▼ 夜はABTへ「白鳥の湖」。という所だったが、SF君が論文を仕上げてきてくれたので、ついに手一杯。チケットは開演前にホールの前で売りさばいて、泣く泣くすぐに帰宅。KN君の論文の本文を直しに専念。
▼ 英語ができない私にもいつもニコやかに話しかけてくれるノリの良いラボの掃除の黒人の兄ちゃんが、自分の妹を僕に紹介してくれた。いい兄弟だなあ。
Science Matching Behavior and the Representation of Value in the Parietal Cortex。どなたかの解説に期待しつつ・・・未読。
Science Vesicular Glutamate Transporters 1 and 2 Target to Functionally Distinct Synaptic Release Sites。Edwardsラボ。VGLUTを使えばシナプス別に染め分けが可能になりそうなので前々から着目している。この論文は主に VGLUT1ノックアウトマウスの解析。個人的にはCA1よりCA3のシナプスが気になるんだけどなあ。
Science Long-Term Memory Requires PolyADP-ribosylation。アメフラシ(Aplysia.)学習。記憶の固定時にPolyADPリボシル化によって記憶に必須なタンパクがコードされたDNAへのアクセスが容易になることが重要らしいという内容。今ひとつこの論文の本質がつかめないが、哺乳類だけどここら辺の論文も併せて読む必要ありか?
N Altered regulation of brain-derived neurotrophic factor protein in hippocampus following slice preparation。McNamaraラボ。海馬スライスを作っただけでBDNFの量がすばやく変動する。まいったね。MKY先生とRK君は必読か。
N Brain-derived neurotrophic factor increases inhibitory synapses, revealed in solitary neurons cultured from rat visual cortex。津本ラボ。GABA性神経のMicroisland培養。これでBDNFのGABA性神経に対する直接的な効果だけを見ることができる。論文も引用してもらっているし、やはりMKY先生は必読だろうなあ。
▼ 今日のキーワード検索: Google 「PNAS 汚い」 うむ
一口英語教室: 「また会えたね〜」 → Nice to meet you again.


6月18日(金)
▼ 今日はSilaのthesis defence(博士発表)。テーマは「spine motility」。DaniやJesseも顔を出す。NY大学からGan教授も来ていた(審査員らしい)。午後は祝賀パーティー。ケーキに施された模様がなんと“スパイン”の模様で飾られていた。アメリカの博士発表では最後のスライドに両親や恋人の写真を見せて感謝するのは別に珍しくはないんだけど、Silaのお母さんが金髪だったのには驚いた。Silaは7月からサンディエゴにポスドクで移る。
▼ それ以外はずっとKN君の論文。手紙も書く。その後はすぐにSF君の論文にとりかかる。
▼ ここ連日30℃を越えている。夜もクーラーがないとツラい。家で仕事をしながら冷房を付けていたら、ちょっと寒くなりすぎて、思わずシューベルトの「冬の旅」のCDにに手が伸びる(←アホ)。凍てついた曲。芸術の芳香ムンムン。彼の最高傑作の一つだ(ちょっと難解だけど)。すでに日記にも書いたように私はシューベルトの音楽が好き。絶妙な転調の味わい。この心地よさがどこから来るのかと不思議に思って、よく楽譜を研究したものだ。私のかつて作ってきた曲達にはシューベルトの和声技法が織り込まれている。
PLoS Functional Fluorescent Ca2+ Indicator Proteins in Transgenic Mice under TET Control。Neuroscientistさんの日記より。うっかり見落としてた。Roger Tsien、Atsushi Miyawaki、Winfried Denkの名前が見える。
▼ 今日のキーワード検索: Yahoo「松井稼頭中」 ありゃりゃ、カズオで変換されないので「中央」って打ってから消す方を間違えました
▼ 今日のキーワード検索: Yahoo「妻の友人 体験談 告白」 “友人”ってのがポイントだな
一口英語教室: (別れ際などに)「いつか食事でも」 → Let's do lunch sometime.


6月19日(土)
▼ 一日中、KN君とSF君の論文。KN君の論文の方はほぼ完成したのでNeilに英文校閲を頼む。来週には再投稿できるかな。SF君の方も本文は一通り終了。なんとか明日には終わらせたいな。なにせ〆切は火曜日だし。。。
▼ 夜。妻の友人が最後の晩というころで鍋パーティー。鍋奉行はもちろん私。結構、鍋は得意なんだけど、今日はなぜかちょっとダメだった。おかしいなあ。
▼ うお〜、ニューヨーク近代美術館(MOMA、The Museum of Modern Art)がマンハッタンに帰ってくるぞう! 2004年11月20日オープンだそうだ(詳しくはこちら)。MOMAは私が行ったことのある世界の美術館の中でもトップレベルの質。これを行かずして日本には帰れまい。なにせゴッホの名作「星月夜」が昨年後半からNYを留守にしがちにしていて私は久しく出会っていない。ちなみに、新館を手がけたのは谷口吉生(Yoshio Taniguchi)師匠。これも日本人として嬉しい話である。
▼ 安田さんが日記上でShimaさんの疑問に答えている。ここら辺はモロにYusteラボのテーマにも関係するので、思わず傍観しながら楽しんでしまう。なお「convolution(重積、畳み込み積分)」についての説明は上村ラボ(「かみむら」の方)によるこの説明が一番解り易いかな。さすがだ。大学1年生程度向けなので数学が苦手な方はどうぞ。
▼ 今日のキーワード検索: Yahoo「ポスドク 海外 こんなはずじゃ」 これ、すでに2回目っす。人によってイロイロだね。
▼ 今日のキーワード検索: Yahoo「ポスドク、日記、実験、彼女」 実験を取るか彼女を取るか・・・ポスドクの永遠の課題でしょう
▼ 今日のキーワード検索: Yahoo「不思議だぞう」 この検索そのものがまず“不思議だぞう”的なんだけど、これの検索結果がたったの3件のみだってのも不思議だぞう^2
一口英語教室: 「まじ最高」 → I am happy as can be.


6月20日(日)
▼ 明日に投稿すべくSF君の論文に専念。なんとか間に合いそうか?
▼ 夜は住商の田子さんがヒューストンからNYを訪れていらしているので、妻と一緒に居酒屋「酒蔵」で飲む。
▼ 佐藤琢磨選手、大波乱のアメリカF1 GPを完走。しかも初の表彰台付き!
▼ ちなみに今日、ホントは観戦に行きたかったUSA open。丸山茂樹選手が4位に食い込む。うーん、見たかった!
▼ 一口英語教室: 「油絵は遠くから眺めたほうがよい」 → Oil paintings look better at a distance. ※ 冠詞は a なので注意。


6月21日(月)
▼ 先週記録したデータの解析。
▼ 昼飯後、コーラを飲んでいたら、うっかり鼻の中に。。。すげーイタい、涙、、、でる。
▼ 夕方は「グッケンハイム美術館」へ。私が愛して止まない画家カンデインスキー(Wassily Kandinsky)の作品でとりわけ気に入っていて、博士課程の頃には自分のPCの壁紙にも使用していた「コンポジションVIII」がいま展示中だという情報を聞きつけたのだ。この作品はそもそもここグッケンハイム美術館の所有物だが過去3回訪問したときにはいずれも貸し出し中だった。4回目にして晴れてご対面。感激もひとしお。あと、特別展示されていたブランクーシ(Constantin Brancusi)。こんなにまとめて彼の作品をみたのは初めて。やっぱいいなあ。究極の“形”
▼ 帰宅後、SF君の論文の最終チェック改訂を済ませてonlineで再投稿する。その後は薬作の予算申請書チェック。
▼ 最近、妻はセロリアック(根セロリ)を使ってサラダを作ってくれる。
▼ 妻の母親に描いてもらった漫画がとても良かったので、思わずホームページのトップに載せてみた。日本に帰る日が来たら国旗を変えないとね。
▼ 5日前に未公開宣言した日記の表ページに今日も400件ものアクセスがある(3日前の時点ではまだ1200件もあった)。。。こんな日記でもホントに愛読者がいてくれたんだなあと思うと、なんだか申し訳ない気もしてくる。そもそも「日記」というものには、本当に個人的な記録としてのモノと、初めから他人に読ませるために書かれたモノの2種類があるのは自明。後者の例として古くは更級日記や土佐日記など。
JNP Characterization of Neocortical Principal Cells and Interneurons by Network Interactions and Extracellular Features。Buzsakiラボ。かつて平瀬さんから原稿をいただいていた。64-siteのシリコンプローブを用いて同時に100個近いの神経からunit記録。興奮性神経を抑制性神経を区分けして、それらの相関を追っている。すごい。この技法があれがイロイロとできそう。ちなみに今号の美しい表紙にもなっている。
JNP Flavoprotein Autofluorescence Imaging of Neuronal Activation in the Cerebellar Cortex In Vivo。内因性Flavoproteinの自家蛍光を使って神経活動を記録する方法(無染色で記録できるのが利点:蛍光の原理は図11を参照のこと)をvivoに応用した論文。とりあえず類似の論文はこちら。私も試したことがあるが、なにせ時間分解能と空間解像度が悪すぎた。
JNP Subthreshold Resonance Explains the Frequency-Dependent Integration of Periodic as Well as Random Stimuli in the Entorhinal Cortex。 ラット水平切片。嗅内皮質パッチ。sinusoidalもしくはfrozen-noiseカレント入力に対する星状細胞と錐体細胞のスパイク応答の差を追求した論文。Stellate Cellは10Hz付近で“引き込み”が最大になるという図1からしてまず面白い。SF君、どうぞ。
JNP Long-Term Potentiation of Intrinsic Excitability in LV Visual Cortical Neurons。 Turrigianoラボ。ラットV1スライス第5層錐体細胞パッチ。シナプス伝達を抑えた状態でも平均7〜8Hzで5分間発火させると、発火閾値が長期的に低下する(興奮性が上がる)。PKAを介しているらしい。もしやLTPのE-S乖離はPKA阻害薬で切れるってこと? ま、ともかくMT君は必読かな。
JNP Development of Intrinsic Properties and Excitability of Layer 2/3 Pyramidal Neurons During a Critical Period for Sensory Maps in Rat Barrel Cortex。Svobodaラボ。ラットバレル皮質第2/3錐体細胞パッチ。intrinsic propertyの成熟と臨界期の終了が一致しているという内容。
JNP Spatial Transformations for Eye-Hand Coordination(総説)。未読、でも面白そう。図だけ見るにたぶん身体認知論と関係していると思われる。
▼ 今日のキーワード検索: Yahoo「韓国料理 アルツハイマー病」 効くんか?明日からキムチだ
▼ 今日のキーワード検索: Yahoo「BDNF 増やす」、Yahoo「BDNF 食べ物」 っつうか癲癇になるぜ。ねっ、RK君
▼ 今日のキーワード検索: Yahoo「乙葉 合成写真」
▼ 一口英語教室: 「遅くなってゴメ〜ン」 → I'm sorry I'm late.


6月22日(火)
▼ ずっとデータ解析。昨日と今日でトレースの抽出が終わる。最近Matlabの調子が今ひとつ。作動がひどく遅い。まあ、Matlabってもともとそんなに速くないんだけど。
▼ 今はレストラン・ウィーク期間なので、夕食は「REMI」というイタリアンに行く。まあまあかな。
▼ その後はCNNでも特番を組むほど話題になっているクリントン前大統領の回想録『My Life』という本が今日発売になったので本屋に見に行く。ブ厚くてビックリ。英語の勉強のために本よりも(おそらく盲人用にクリントン本人により)音読された音源CDのほうを買おうかと思ったが、今日のところは購入せず(値段は同じで35ドル)。
▼ 夜はメトABTへ。ドリーブ作曲のバレエ「コッペリア」。イリーナ・ドヴォロヴェンコ(Irina Dvorovenko)とマキシム・ベロツェルコフスキー(Maxim Belotserkovsky)が踊る。妻が贔屓のイリーナは私としては悪女的な役の方が好きなんだけど、こういう可愛い踊りもとてもチャーミングで似合う。
▼ 佐藤さんの友人がダーツの試合に出ているというので、バレエの帰り道に観戦に立ち寄る。行くのが遅くて「501」という試合しか見れなかった。でも初めて見るダーツの試合は興味深かい。彼の解説によると投げ方はバスケのフリースローと同じ腕の使い方なんだそう。
PNAS Activation of cAMP-response-element-binding protein (CREB) after focal cerebral ischemia stimulates neurogenesis in the adult dentate gyrus。YM Luラボ。虚血後に歯状回顆粒細胞の分裂能が高まることは良く知られているが、これがCREB系を介しているらしいという報告。内容はともかく実験手技などは薬作のメンバーは学ぶ点が多いはず。ちなみにvivo海馬に感染にはSemliki Forest virusを使っている(同グループの前報こちらも参考に)。
PNAS Synaptotagmin IV regulates glial glutamate release。synaptotagminには15種類ある。そのうちのsynaptotagmin IVはアストロサイトに選択的に発現している。RNAiを用いてアストロのvesicle放出(gliotransmission)を媒介していることを示唆。アブストの最後では「our data raise the intriguing possibility that Syt IV-mediated gliotransmission contributes to hippocampal-based memory」とわりとデカく出ているが、discussionでは全体的に弱気な議論にとどまっている。あと、glutamate放出についてはtransporter reversalの関与についてもっとつめた方がいいかも。
PNAS Involvement of Notch signaling in hippocampal synaptic plasticity。Notchアンチセンスをtumor virus LTR promoterで発現させたマウスを作ったら、海馬CA1のLTPのレベルが低下し、LTDが上昇した。
PNAS Dynamical basis of intentions and expectations in a simple neuronal network。同じ状況に置かれても人の行動は同じとは限らない。そのときの気分によってビールを飲むかもしれないし、ウィスキーを飲むかもしれない。Aplysiaのcerebral-buccal interneuronを刺激すると(同じ刺激にもかかわらず)、ある時には摂食行動、また別のある時には排泄行動という背反する行動が誘導される。つまりoutputの決定はニューロン網の内部状態に依存しているわけなのだが、これはhistory-dependentであり、究極的にはシナプスの可塑性に帰着される。というわけで、SF君やMT君には興味ある話題か。結構、重要なことを言っている論文だと思うのでアイデアをもらうべし。
MCN Neurogenesis in hippocampal slice cultures。内容はこのタイトル通り。GFP-Neurogenin-2をノックインしたマウスを使用している。Neurogeninは神経決定に関与するbHLH転写因子(こちら)。JAK君、RK君、RXY君、NK君は読むべし。EGFの効果は我々にも重要か。
▼ 今日のキーワード検索: Google「エジソン ガムテープ」 これなんだろ。静電気かな?
▼ 今日のキーワード検索: Google「高橋智幸 美容」 私にはどうにも結びつかないこの二つのキーワード…
一口英語教室: 「そのネクタイ、君に合ってるね」 → The tie becomes you.


6月23日(水)
▼ 午前はこまごまとした解析用プログラムを数本作る。
▼ 午後はNeilのデータ解析の手助けと、自分用のデータ解析。その後はTY君の論文の直し。気づいたら深夜3時、あら。でも本文の直しはほぼ終了。日曜日には投稿したい。
▼ TVで『ドクトル・ジバゴ』をやっていた。私はデヴィッド・リーン監督が好きで、とりわけジバゴでの映像美は好み。同監督では他に「逢びき」「大いなる遺産」などの白黒映画も忘れてはなるまい。
▼ 今秋、PLoS Medicineが発刊になるのだが、どうやら今回も適任の著者inviteに乗り出しているらしい。
Nature Rapid BDNF-induced retrograde synaptic modification in a developing retinotectal system。Pooラボ。Xenopus tadpole。被蓋にBDNFを適用すると20分ほどで、retinal ganglion cellの光感受性が可塑的に上昇するという驚くべきデータ。これは培養海馬神経で見られた可塑性の逆行性樹状突起伝播のアナロジーでもある(こちら)。図3と4はそのメカニズムを調べている。最後の文「a mechanism reminiscent of backpropagation algorithms used for supervised learning in artificial neural networks」は、うーん、どうだろうな。ちょっと詭弁ちっくか。
Nature Gene regulation and DNA damage in the ageing human brain。Yanknerは最近こんなことやってるんだ。面白い。最近のニュースでも取り上げられていた話題。ただし、使っている標本は死後脳だし、データのバラツキが意外と大きいことは注意が必要だ。
▼ Neuron Chromatin Acetylation, Memory, and LTP Are Impaired in CBP+/- Mice: A Model for the Cognitive Deficit in Rubinstein-Taybi Syndrome and Its AmeliorationCBP Histone Acetyltransferase Activity Is a Critical Component of Memory Consolidation。それぞれ異なった変異マウスを作成しているが、ともにCREB binding protein (CBP)の機能と可塑性・学習を扱かった論文。Rubinstein-Taybi症候群という疾患がCPBのmutantによって生じるという事実に基づいた論文。CREB依存性の遺伝子発現を高めたり、histone deacetyltransferaseを阻害することでモデル動物の学習障害がレスキューされるというデータは重要かも。
Neuron Long-Term Synaptic Changes Induced in the Cerebellar Cortex by Fear Conditioning。cued恐怖条件付けで平行線維−プルキンエ細胞シナプスにLTPが起こるという内容(登上線維シナプスには生じない)。これはポストのAMPA受容体の増加に依っている。GluRδ2が欠損しているために平行線維シナプスの機能がないhotfoot mutant マウスではこの手の学習ができないことからも、平行線維の学習への重要性が伺える。
Neuron Multiple Roles for the Active Zone Protein RIM1α in Late Stages of Neurotransmitter Release。RIM1αノックアウトマウス海馬アンモン角神経細胞のmicroisland培養を使っていろいろと調べているらしい。ちゃんと読んでいない。
Neuron Single Neurons in Posterior Parietal Cortex of Monkeys Encode Cognitive Set。未読。
JN Glial Glutamate Transporters Limit Spillover Activation of Presynaptic NMDA Receptors and Influence Synaptic Inhibition of Purkinje Neurons。マウス小脳スライス。登上線維シナプスのグルタミン酸はspilloverして、脇にある抑制性シナプス終末のNMDA受容体に作用して放出を促進させる。そのspilloverがグリアのグルタミン酸トランスポータで制御されている話。もちろんあり得る話だろうとは思うけど、バーグマングリアを一個だけコントロールしただけで作用が出るのがスゴいかも。
一口英語教室: 「またね〜」 → See you later alligator。 ※ 単なる親父ギャグ。或る年齢以上の人が言うあの「当たり前だのクラッカー」と同じくらいサムい表現なので使わないに限る。


6月24日(木)
▼ 一日掛けてTY君の論文の直し。手紙も書く。いま一度、審査員の返事を読みかえしたら、まだまだ改訂が足りなかったので、再度本文を書き直す。またまた深夜に・・・うむ、時間が足りない。
▼ RK君の論文がJournal of Neuroscience誌からacceptableで返ってきた。軽く改訂して明日には投稿したいな。
▼ 吉田君が日記で活発な議論を展開している。例の論文についてだ。私が期待していた展開なんだけど、高度すぎて私の知識では割り込めないのが悲しい。っていうか、実のところちょー勉強になる。
▼ Journal Citation Report最新版が出た(こちら)。プリントアウトして薬作の壁に貼っておこうね。気合いだぜ! にしてもCell誌のimpact factorが下がったままなのが気になる。
▼ 松井稼頭央選手、西部ライオンズ時代から続けていた連続出場が1213試合で止まる
Science Neuronal Oscillations in Cortical NetworksBuzsakiDraguhnによる総説。図1Cの関係は知らなかった。面白い。
Science Regulation of Dendritic Protein Synthesis by Miniature Synaptic Events。E Schumanラボ。海馬培養神経。CaMKII-α mRNAの3’UTRに樹状突起移行シグナルが含まれていることを利用してGFPをreporterとして樹状突起のタンパク合成をモニター。ボツリヌス毒素Aやα-latrotoxinを適用してMiniatureの関与を調べている。
Science Postnatal Refinement of Peripheral Olfactory Projections。読む時間がない。。。
▼ ところで今号のScience誌の表紙、なんかスゴくない? 女優使ってるのかな。
Cell The Molecular Basis of Odor Coding in the Drosophila Antenna。読む時間がない。。。
Cell Taste Representations in the Drosophila Brain。読む時間がない。。。あ、でもShimaさん、どうもです。とても助かります。
▼ 今日のキーワード検索: Google「池谷 由来 苗字」 私も知りたいぞ
▼ 今日のキーワード検索: Yahoo「ガヤ!」  へ?最後の「!」はなんすか?…もしや検索用演算子?
▼ 今日のキーワード検索: 「松井 和食 NY 目撃」 いろいろ目撃情報ありますよ〜。会いたければ夜ちょっと遅めに行くのがポイント。店名は秘密。ちなみに先日のイチロー選手はNYの或る韓国料理店にいらしたようです。
一口英語教室: 「お前、いい度胸してるな」 → You have a lot of nerve. ※ a lot ofが付いてもnervesとはならないので注意。a lot of nerveで“ズ太い神経”の意


6月25日(金)
▼ 午前、RK君の論文の改訂を済ませる。Letterも書いて昼過ぎにJ Neurosci誌へonline投稿。これで完璧。
▼ 午後にはTY君の論文も最終チェックを終え、夜にJ Neurosci誌へonline投稿に漕ぎつける。こちらはまだ余談を許さない状況。
▼ Neilに英文校閲をしてもらっているKN君の論文だが、今日の午後までの約束が急に明日の朝になることに。ふだん英語の添削なんてしないので、たまに慣れないことをすると、なかなか自分のペースで仕事が進まない。
▼ そんなわけで夜中は時間ができたので、映画を見に行くために夜な夜な繰り出す。何をって?そりゃ、なにかと話題が尽きない「華氏911(Fehrenheit 9/11)」でしょ(これこれこれを参考)。問題作だけど、一応、カンヌ国際映画祭で最高賞パルムドールを獲得した作品ではあると付け加えておこう。と、いうわけで意気揚々と出かけたのだが、実は今日が公開日だったので、着いてビックリ、すでに行列。今日中には無理とのこと。。。しょんぼり帰宅。
▼ MKY先生が担当している「HGFとNMDA受容体」の論文がNeuroscience誌に受理されたようだ。おめでとうございます。ちなみにコレは私の名前が入った論文では記念すべき第60報目に相当する。還暦論文!
▼ McGaugh教授がわざわざEメールで最新の総説を送って下さった。しかも、私の論文を5つも引用して頂いて大感謝。
▼ サブウエーシリーズ雨天延期。
Science Layer-Specific Somatosensory Cortical Activation During Active Tactile Discrimination。Nicolelisラボ。覚醒ラットバレル皮質unit記録、ヒゲ情報を頼りに報酬を得ようとしている“積極的”な状態でヒゲ刺激があったときと、受動的に“ヒゲを触られた”ときでは神経の反応が異なるというもの。積極的な状態では抑制性神経の活動が抑圧されているみたい。図4では皮質層による反応差も示している。データはまだまだ現象論的記述にとどまっているが、なんとなく“注意力(Attention)”とかも関係しそうで潜在性を秘めた良い論文だと思う。議論は主にtop-down influenceにいっているが、最終的にはバレル局所回路の「内部状態(Inner-state)」に依存して、感覚刺激の解釈が変わることには確かなんだから、結局はこの論文とモロに関係あることになる(でも、引用されていない)。いずれにしても、「ニューロン回路には安定状態が複数あって、その間を任意にStateがドリフトしている(multistability)」という視点、それから「情報Flowの“経路(Trajectory)”が内部状態によって変わる(state-depnedncy)」というポイントは本論文でも見逃してはいけなくて、MT君やSF君(それにMKY先生も)はこういう論文を読むと自分の研究をちがった側面から眺められるはず(だと思う)。
NN Electrical coupling between red and green cones in primate retina。タイトル通り。Robertoがこの論文にとても興奮していた(彼はGap Junction系のラボ出身)。でも、これで色判別の精度が落ちるわけだから、「じゃあ、何のために」とかって思ってしまうのは素人考えか。「electrical coupling … may be beneficial to the detection of variations in luminance by averaging out the noise 」と書かれてはいるが、だったら赤は赤同士、緑は緑同士が結合していた方がいいでないのかい? ちなみに網膜錐体細胞の話題は同号にもう一つあって、そちらSeparate blue and green cone networks in the mammalian retina)のほうがいま私が述べた意味でより納得がいく内容になっている。
NN Differential activity-dependent regulation of the lateral mobilities of AMPA and NMDA receptors。培養海馬細胞。AMPAおよびNMDA受容体の動きを一分子追跡(量子ドットも使っている)して、膜上を移動しながらシナプス直下に入ったり出たりするいわゆる「lateral mobility」を調べている。両受容体の動態に差があったという結論はまあそりゃそうだろう。AMPARのほうが活動依存的だというのも納得できる。ところでシナプス部位をMitotrackerで検出する方法は楽チンでいいなあ(MKY先生、これ使える?)。薬作の上階系の人は皆必読?
NN Cell-specific, spike timing-dependent plasticities in the dorsal cochlear nucleus。Trussellラボ。ここら辺の回路構造は今ひとつよく把握していない。まあ簡単にいえば、脳幹の聴覚を媒介する神経回路で、同一の細胞が投射(Parallel fiber)している二種の細胞種(fusiform細胞[興奮性]とcartwheel細胞[抑制性])へのシナプスで、それぞれSTDP(Spike-timing dependent plasticity)のルールが違うというもの。つまり、同一の入力であっても受け手によって生じるシナプス可塑性が異なるというわけ。特にcartwheel細胞に見られる学習則は「anti-Hebbian」と呼ばれるもので、すでに理論家たちが予言こそしていたけれども、これまでは架空の現象だったのだ。たとえばこちらこちら(後者は昨年のSFN学会でポスターの前に人が群れていた)。それを実証したというのがこの論文が掲載された理由だろう。
NN Adaptation changes the direction tuning of macaque MT neurons。未読。
▼ 今日のキーワード検索: Yahoo「ゲルギエフ 金持ち」 そりゃそうだろうなあ
▼ 今日のキーワード検索: Excite「拡張市 .sxy」 なんだこれ?
一口英語教室: 「熱があります」 → I have a fever. ※ 冠詞 a を付け忘れずに。余談:英語で「知恵熱」に相当する言葉は、“歯が生え始める時期の熱”ということで、「teething fever」(歯牙熱)という。というわけで「正俊君、そりゃ知恵熱だな」を You've gotten a teething fever と表現したところで日本の持つニュアンスは通じない。


6月26日(土)
▼ 朝、佐藤君と黒川さんが車で迎えに来てくれて、突如、NY郊外の「ウッドベリー・コモン(Woodbury Common Premium Outlets)」に行くことになった。実はここを訪れるのは私は初めて。ル・クルーゼ(Le Creuset)で鍋やヤカンなどの生活必需品を買い込んで昼過ぎに帰宅。つうか、信じられない安さ。
▼ 午後はNeilが校閲してくれた論文をひたすら直す。
▼ 今週のF1000 J Neural Eng 2004 1:63-71 A brain-computer interface using electrocorticographic signals in humans (IF=9.0)
▼ 一口英語教室: (話題の前置きとして)「話すと長くなるんだけど」 → It's a long story.


6月27日(日) ニューメキシコ
▼ 大ハプニング発生。朝2時に自宅を経ち、いろいろと飛行機を乗り継いで、ようやく夕方にニューメキシコ州カールスバット空港に着くことができた。
▼ ここには小・中学生の頃から憧れていた世界最大と言われる『カールスバッド鍾乳洞(国定公園)』(世界遺産)がある。到着が遅かったので今日は洞窟の中には入れなかったが、夕暮れになると鍾乳洞の入り口から、なんと50万匹にも達しようというコウモリの大群が巨大な螺旋を描いて上昇し、そして列をなして飛び去っていく(こんな感じ)。入り口が狭いので全部が飛び立つまでに1時間近い大行列が見られるという。ムービーは(こちら(1.2Mb)こちら(2.1Mb))。この光景には度肝を抜かれる。Discovery Channelも撮影に来ていた。
▼ ホテルに帰った後、KN君の論文を直してEditorに送るように依頼−−これでここ7日間に4報投稿したことになる。怒濤のような日々だったな。代わりにYusteラボのほうの仕事がほとんど進まなかったのが惜しまれる。
▼ 一口英語教室:(電話で「ガヤはいる?」と聞かれ)「私ですが」 → Speaking.


6月28日(月) ニューメキシコ
▼ 朝一番で『カールスバッド鍾乳洞』に入る。ここはスゴい。写真には収まりきらない。撮るのがムナしくなるくらいの絶景が次々に展開される(こちら)。小さな頃から夢にまで見ていた風景が目の前に展開されているのは、なんとも感慨深い。それに朝早かったので、妻と私の二人でこの巨大な洞窟が独占状態だった。
▼ その後に「サンタ・フェ」に向かうが、道中は「ロズウェル」という街に寄る。ここは1947年にUFOが落ちた場所として有名。UFOの中から謎の生命体が屍体で見つかったらしいが、その直後にFBIと空軍が駆けつけ報道規制をしたことがさらにマスコミの好奇心を煽った。この近辺ではその後もUFOの目撃情報が相次いでいる。UFO博物館にも立ち寄ったが、その直後、駐車場でついに私の目の前にもUFOが出現したのだ!決定的瞬間をデジカメにも納めたので公開しよう(こちら)。謎の円盤は、でも妻の帽子だったみたい。。。残念
▼ 夕方には「サンタフェ」に到着。市内を散歩。統一感の取れた面白い街並みでびっくり。多くの人はこの街名を聞くと宮沢りえさんを想像するようだが、私はなんと言っても「サンタ・フェ研究所」だな。「複雑系」の聖地である。
▼ 一口英語教室: 「お願いしたいことがあるのですが」 → Will you do me a favor?


6月29日(火) アリゾナ
▼ 午前は「サンタ・フェ」の観光。カテドラル、ロレッタ教会、オ・キーフ美術館などなど。
▼ 午後にはアリゾナ州の「セドナ」に向かう。とても遠くて夕方にようやく着く。いや、これまた素晴らしい景観だ。ヴォルテックスの上で夕日に反映する赤い岩山を眺める。
▼ RK君の論文がJ Neurosciから最終的に受理の返事がきた。おめでとう。掲載は8月後半〜9月くらいかな。私の帰国中に掲載されるかもね。
PNAS Prolonged hyperpolarizing potentials precede spindle oscillations in the thalamic reticular nucleus Pablo Fuentealba, Igor Timofeev and Mircea Steriade。
JP Burst generation in rat pyramidal neurones by regenerative potentials elicited in a restricted part of the basilar dendritic tree.
▼ 一口英語教室: 「ちゃんとしなさい」 → Behave yourself.


6月30日(水) アリゾナ
▼ 朝。「セドナ」観光。岩山やヴォルテックスなどを巡る。
▼ 昼は「メテオル・クレーター」へ。ここは古代に隕石が落下した場所。砂漠の真ん中にぽかんと空いた直径2キロもある穴をのぞき込むと、一見、火山の噴火口に見えるんだけど(これ)、周囲の岩石の溶解や弯曲の具合から、隕石の衝突当時のすざましい衝撃が伺える。驚愕の風景。クレーター周囲の荒んだ景色も素晴らしい。
▼ 午後は『ペトリファイド・フォレスト国立公園』を訪問。ここもまた信じがたい景色なのだ。原形のままで化石になってしまった木々(こんな感じ)が、見渡す限りの荒野にこれでもかと大量に散らばっている。まさにその名の通り「化石の森」。化石はいずれも美しく、或るものはメノウへ、また或るものは水晶へ、そしてまた或るものはジャスパーへと、虹色の宝石に変質している。まさに言葉も出ない奇怪幻想の世界。超お勧め。折角なので、木の化石(輪切り)を一つ買ってきた。40ドル。
▼ 夕方。『キャニオン・デ・シェイ国定公園』の入り口の宿に到着。
NM Apolipoprotein E promotes astrocyte colocalization and degradation of deposited amyloid-Beta peptides
JN Rapid Fluctuations in Rat Barrel Cortex Plasticity Irina A. Erchova and Mathew E. Diamond。
JN Whisker Vibration Information Carried by Rat Barrel Cortex Neurons Ehsan Arabzadeh, Stefano Panzeri, and Mathew E. Diamond。
JN Intrinsic and Circuit Properties Favor Coincidence Detection for Decoding Oscillatory Input Javier Perez-Orive, Maxim Bazhenov, and Gilles Laurent。
▼ 一口英語教室: 「勘弁してよぉ」 → Give me a break.

(2004年)


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